期待されるIECにおける「SyC LVDC」の設立
図3に、IECにおける直流(DC)に関する標準化活動の経緯を示す。図3は、2009年に、IEC内にSG4(Strategic Group 4、戦略グループ4)というLVDC〔(Low Voltage Direct Current、低電圧直流(IECの定義では、直流は1500Vまでが低圧に区分される)〕を審議する戦略グループが設立され、活動を開始して以降の動向を示している。
図3 IECにおける直流標準化活動の経緯
INTELEC:International Communicatioins Energy Conference、IEEE Power Electronics Society主催の国際会議。
出所 廣瀬圭一「380VDC給電システムと国際標準化の動向」、2018年5月11日
ここで重要なことは、2017年に、新たに直流1500VまでのLVDC規格を策定する「System Committee LVDC(通称:SyC LVDC。エスワイシー・エルブイデーシーと読む)」が設立され、ICT分野に限定せずに、DC1500Vまでの標準化を体系的に管理・開発する組織となったことである。
SyC LVDCの本格的な標準化の議論と活動はこれからとなる。
インドやアフリカ諸国など、まだ電気が普及していない未電化地域を抱える国では、直流をうまく活用したいという要望が高まってきている。そこでSyC LVDCでは、先進国だけでなく、発展途上国向けにも考慮した直流の国際標準を策定する方針になっている。
図4は、直流方式の標準化対象範囲を簡略化して示している。このように、「①電源をつくり送る側、②消費する側、③保護する側」というように、大きく3つに分けて、規格を整理して議論が行われている。
図4 IECにおける直流給電方式の標準化の対応状況(例:2018年5月時点)
廣瀬圭一「380VDC給電システムと国際標準化の動向」、2018年5月11日
すでに、整流装置(電力変換装置)の規格の一部は発行され、ICTラック用のコンセント/プラグも2015年、2016年に国際規格になっている(図5)。また、直流漏電遮断器(分電・保護機器)やDC380V系電圧などに関しても議論されており、今後、規格が発行される予定となっている。
図5 国際標準化された直流380V用コンセントの外観(国際規格発行済)
出所 廣瀬圭一「380VDC給電システムと国際標準化の動向」、2018年5月11日
さらに、ICTラック内の直流電源インタフェース条件については、2018年度中に標準の日本提案をすべく、国内関係者で準備を進めている。