「大規模停電に関する検証委員会」が発足
電力供給システムの安定供給を維持することを目的とする「電力広域的運営推進機関」では、表3に示す、「平成30年北海道胆振東部地震に伴う大規模停電に関する検証委員会」(以降、検証委員会)を発足させ、2018年9月21日に第1回会合を開催した。
表3 平成30年北海道胆振東部地震に伴う大規模停電に関する検証委員会委員名簿(電力広域的運営推進機関)[敬称略]
出所 https://www.occto.or.jp/pressrelease/2018/180919_hokkaidokenshoiinkai.html
第1回会合では、
- 北海道全域に及ぶ大規模停電の発生原因の分析(9月6日午前3時7分の地震発生後、午前03時25分の大規模停電発生まで)
- 大規模停電後、一定の供給力(約300万kW)確保に至るプロセス(9月6日及び7日)における技術的な検証(ブラックスタート電源の立ち上げ等)
- 北海道エリア等において講じられるべき再発防止策等(停電規模抑制策含む)の検討
が開始された。
地震発生直前の系統の状態
北海道電力における地震発生直前の系統状態(電力の総需要)は、図1のオレンジで示した部分が地震の直前に稼働していた発電所群であり、電力の総需要は、約310万kW〔3,087MW(308.7万kW)〕であった。
図1 地震発生直前の系統状態
出所 電力広域的運営推進機構、「地震発生からブラックアウトに至るまでの事象について」
第1回平成30年北海道胆振東部地震に伴う大規模停電に関する検証委員会、資料4、2018年9月21日
当時、火力発電所の一部(砂川3・4号機、奈井江2号機、伊達1号機、音別1・2号機)は、深夜需要に合わせて停止していた。火力発電はメリットオーダー順(コスト効率のよい順)に発電していたため、苫東厚真(とまとうあつま)を高出力、その他の火力は低出力としていた。
北海道電力の苫東厚真火力発電所(石炭火力。総出力165万kW、写真2)においては、地震発生前の総需要の約310万kWのうち、約50%にあたる約150万kW(1492MW)という、一極集中の発電状態であったということ、また北海道電力の発電電力量のうち、52%が石炭火力に依存しているということも大きな特徴であった注3。
写真2 苫東厚真(とまとうあつま)発電所(石炭火力発電所)の位置と外観写真
少し細かくなるが、図2に北海道電力管内の主要送電線と発電所の位置を示す。
図2 北海道電力管内の主要な送電線・発電所の位置
出所 電力広域的運営推進機構、第1回平成30年北海道胆振東部地震に伴う大規模停電に関する検証委員会、参考資料1、2018年9月21日