「関西VPPプロジェクト」は新しくVPPアグリゲーター事業へ
VPP構築実証事業は3年目を迎えているが、ここでは同実証事業〔A事業注1とB事
業注2が共同で執行〕を推進してきた「関西VPPプロジェクト」の成果を見ながら、今後の展開を紹介しよう。
「関西VPPプロジェクト」(2017年度は16社。2018年12月号前編を参照)は、2018年度は、表1に示すように「B-1事業:VPPアグリゲーター事業(17社:幹事会社関西電力)」として引き継がれ、新体制でVPP構築実証事業が推進されている。
表1 2018年度採択事業者(B-1事業:VPPアグリゲーター事業)
AC:Aggregation Coordinator、アグリゲーションコーディネーター。リソースアグリゲーター(RA)が制御し創出した電力を束ね、一般送配電事業者や小売電気事業者、再エネ発電事業者等と直接電力取引を行う事業者のこと。
RA:Resource Aggregator、リソースアグリゲーター。住宅や工場などの需要家とVPPサービス契約を直接締結して、リソース制御を行う事業者
出所 http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/energy_resource/pdf/008_08_01.pdf
関西VPPプロジェクト:2017年度の実証内容
「関西VPPプロジェクト」は、2018年度から新しくVPPアグリゲーター事業(B-1事業)として実証事業を展開中である。ここでは2017年度の成果を中心に紹介する。
図1に、2017年度に「関西VPPプロジェクト」で導入され実証が行われてきた、VPPで活用できる需要家のエネルギーリソース一覧と各社の役割を示す。
図1 関西VPPプロジェクト(2017年度)の各種エネルギーリソースと各社の役割
※赤字は2017年度から参加した企業
出所 関西電力資料
2017年度(2017年4月〜2018年3月)の「関西VPPプロジェクト」には、具体的には、次の16社が申請し、実証事業が実施された。
【A事業】関西電力、富士電機、住友電気工業、日本ユニシス、横河電機
【B事業】NTTスマイルエナジー、エネゲート、エリーパワー、ダイヘン、Nature Japan、三菱商事、京セラ、シャープ、パナソニック、福島工業、横河ソリューションサービス(赤字は2017年度から参加した企業)
図1からわかるように、米国カリフォルニア州などが蓄電池だけを制御してVPPを進めているのに対して、同プロジェクトでは、
- 家庭用のHEMSをはじめ、エアコン、給湯器(エコキュート)、電気自動車(EV)、蓄電池、屋上太陽光発電(PV)、発電機(家庭用コージェネレーションシステム)
- 業務産業用のBEMS・FEMS、業務用空調、業務用HP(ヒートポンプ式)給湯器などから、メガソーラ、自家発電機(コジェネレーションシステム)
に至るまで、実際に普及している多様なエネルギーリソースを集めて実証されている。
これは、同プロジェクトの大きな特徴となっており、現在、エネルギーリソースは定格出力ベースで、合計約15MW(約51MWh)の規模となっている。
▼ 注1
VPP構築実証事業:A事業(IAE:エネルギー総合工学研究所)
http://www.iae.or.jp/2017/04/07/vpp20170407/#houkoku
http://www.iae.or.jp/download/vpp20170615-1/?wpdmdl=9365
▼ 注2
VPP構築実証事業:B事業(VPPリソースアグリゲーター、SII:環境共創イニシアチブ)
https://sii.or.jp/vpp29/public.html
https://sii.or.jp/vpp29/file/aggregator.pdf?0718