世界の5G携帯電話市場の予測:世界各地域の比較
次に、世界の5G携帯電話市場の予測について、比較的普及の速度が速い、アジア/太平洋(日本を除く)、カナダ、日本、米国、西欧の各地域を比較したものを図6に示す。
図6 5G携帯電話市場の予測:世界各地域の比較
出所 IDC Japan「国内5G関連市場予測:離陸する5G市場」、2019年6月20日
2023年時点では、米国で5G端末のシェアが60%を超えて抜きん出ているほかは、日本も含めて、ほぼ同じ30%程度のシェアとなっている。米国で5G端末のシェアが突出している要因には、通信事業者などの先進的な取り組みとともに、国土に平地が多く5G基地局の設置が容易であることも挙げられている。
国際的に5G端末の普及が加速するのは、2025年以降と見られている。
生活を激変させる本格的な5G社会の到来
それでは、2025年以降はどのように展開していくのだろうか。
〔1〕現在:モバイル端末がハブとなって動作
図7に示すように、現在は、
人 ⇔モバイル端末(ハブ) ⇔ クラウド/AIサービス
というような環境で、テキストデータや画像データ、ウェアラブルデバイスや音声アシスタントなどいろいろなデータを扱っている。これに加えて、最近では外部のIoTデータも扱っている。
これらのデータは、基本的にはモバイル端末(パソコンやスマホなど)を経由して、高い処理能力をもつクラウドサービスあるいはAIサービスで処理され、人間に返ってくる(一部、電話のようにスタンドアロンで直に処理されるものもある)。
このように多くのデータは、モバイル端末をハブとして展開されているが、これは、5G端末普及の初期段階でもほぼ同じ状況だろう。
図7 モバイル端末(パソコン・タブレット・スマホ)がハブとなって動作
出所 IDC Japan「国内5G関連市場予測:離陸する5G市場」、2019年6月20日
〔2〕ARグラス(スマートグラス)の新展開
しかし、2025年以降に、5Gに対応したデバイスやサービスが幅広く普及するような5G社会(5Gが一般化)になると、例えば、
図8に示すような展開も想定される。
図8 ARグラス(スマートグラス)の展開
出所 IDC Japan「国内5G関連市場予測:離陸する5G市場」、2019年6月20日
各デバイス(カメラ、ウェアラブル、音声アシスタントなど)が同時にしかも非同期に(勝手に)ネットにつながるようになると、それらの各データはクラウドサービスやAIサービスに順次送られ、処理され、一括して人間に送り返すことが可能になる(このため、スマホと各デバイスのペアリングなども不要となる)。
例えば、現在、アップルやグーグル、マイクロソフト、フェイスブックなどが続々とARグラス(スマートグラス。カメラ・マイク付き)市場に参入しているが、図8に示すように、ARグラスをかけたユーザーが、「英語の看板を見る」とそれがクラウドに自動的に送られ、自動翻訳されて「日本語に変換された看板の文字」がフィードバックされる。あるいは、「水が欲しい」と言うと、スマホで場所を探すのではなくARグラスが即座に近くの「コンビニの場所を教えてくれる」ようにもなる。
2025年以降における5G社会の本格的な到来は、ライフスタイルを激変させると予測されている。
▼ 注3
分離プラン:通信料金と端末代金を分離すること。通信契約を結ぶ際の端末代金の割引や、端末を購入する際の通信料金の割引などを禁止すること。