[クローズアップ]

5G携帯は870万台、5G契約回線数は3,300万回線へ

― IDC Japanが2023年に向けた国内5G市場予測を発表 ―
2019/07/01
(月)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

世界の5G携帯電話市場の予測:世界各地域の比較

 次に、世界の5G携帯電話市場の予測について、比較的普及の速度が速い、アジア/太平洋(日本を除く)、カナダ、日本、米国、西欧の各地域を比較したものを図6に示す。

図6 5G携帯電話市場の予測:世界各地域の比較

図6 5G携帯電話市場の予測:世界各地域の比較

出所 IDC Japan「国内5G関連市場予測:離陸する5G市場」、2019年6月20日

 2023年時点では、米国で5G端末のシェアが60%を超えて抜きん出ているほかは、日本も含めて、ほぼ同じ30%程度のシェアとなっている。米国で5G端末のシェアが突出している要因には、通信事業者などの先進的な取り組みとともに、国土に平地が多く5G基地局の設置が容易であることも挙げられている。

 国際的に5G端末の普及が加速するのは、2025年以降と見られている。

生活を激変させる本格的な5G社会の到来

 それでは、2025年以降はどのように展開していくのだろうか。

〔1〕現在:モバイル端末がハブとなって動作

 図7に示すように、現在は、

人 ⇔モバイル端末(ハブ) ⇔ クラウド/AIサービス

というような環境で、テキストデータや画像データ、ウェアラブルデバイスや音声アシスタントなどいろいろなデータを扱っている。これに加えて、最近では外部のIoTデータも扱っている。

 これらのデータは、基本的にはモバイル端末(パソコンやスマホなど)を経由して、高い処理能力をもつクラウドサービスあるいはAIサービスで処理され、人間に返ってくる(一部、電話のようにスタンドアロンで直に処理されるものもある)。

 このように多くのデータは、モバイル端末をハブとして展開されているが、これは、5G端末普及の初期段階でもほぼ同じ状況だろう。

図7 モバイル端末(パソコン・タブレット・スマホ)がハブとなって動作

図7 モバイル端末(パソコン・タブレット・スマホ)がハブとなって動作

出所 IDC Japan「国内5G関連市場予測:離陸する5G市場」、2019年6月20日

〔2〕ARグラス(スマートグラス)の新展開

 しかし、2025年以降に、5Gに対応したデバイスやサービスが幅広く普及するような5G社会(5Gが一般化)になると、例えば、

図8に示すような展開も想定される。

図8 ARグラス(スマートグラス)の展開

図8 ARグラス(スマートグラス)の展開

出所 IDC Japan「国内5G関連市場予測:離陸する5G市場」、2019年6月20日

 各デバイス(カメラ、ウェアラブル、音声アシスタントなど)が同時にしかも非同期に(勝手に)ネットにつながるようになると、それらの各データはクラウドサービスやAIサービスに順次送られ、処理され、一括して人間に送り返すことが可能になる(このため、スマホと各デバイスのペアリングなども不要となる)。

 例えば、現在、アップルやグーグル、マイクロソフト、フェイスブックなどが続々とARグラス(スマートグラス。カメラ・マイク付き)市場に参入しているが、図8に示すように、ARグラスをかけたユーザーが、「英語の看板を見る」とそれがクラウドに自動的に送られ、自動翻訳されて「日本語に変換された看板の文字」がフィードバックされる。あるいは、「水が欲しい」と言うと、スマホで場所を探すのではなくARグラスが即座に近くの「コンビニの場所を教えてくれる」ようにもなる。

 2025年以降における5G社会の本格的な到来は、ライフスタイルを激変させると予測されている。


▼ 注3
分離プラン:通信料金と端末代金を分離すること。通信契約を結ぶ際の端末代金の割引や、端末を購入する際の通信料金の割引などを禁止すること。

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