2023年までの日本国内の5G市場動向
〔1〕国内5Gサービス向けインフラ市場の予測
図2に、2017年から2023年の国内移動通信事業者の基地局やコアネットワーク機器などのインフラ投資(支出額)全体の推移を示す。5Gサービスへのインフラ投資を、2019年から2023年の5年間で見ると、2021年から加速し、2023年には全投資額5,000億円の約8割が5Gへの投資となると予測される。このことから、5Gの全国的なサービス展開は2025年頃からと見られている。
図2 国内5Gサービス向けインフラ市場の予測
出所 IDC Japan「国内5G関連市場予測:離陸する5G市場」、2019年6月20日
〔2〕国内5G携帯電話市場の予測
図3は、国内の5G携帯電話市場の予測であり、2023年までの5G携帯の出荷台数の見通しを示している。5G端末は2019年末(10月〜12月)から出荷されると見ている。当初は10万円を大きく超えるハイエンド(高額)端末製品でスタートすること、5G対応のアプリもまだ多くないこと、政府の分離プラン注3などの動きもあることから、5G対応の2023年時点での端末出荷台数は、870万台(全出荷台数の28.2%)と低く予測されている(後述)。
図3 国内5G携帯電話市場の予測:2023年までの出荷台数の見通し
出所 IDC Japan「国内5G関連市場予測:離陸する5G市場」、2019年6月20日
なお、OS別の国内の5G対応モデルの端末については、Android端末は2019年末から出荷され、iOS(iPhone)端末は2020年から出荷が予定されている。
〔3〕国内携帯電話市場の歴史的な推移の整理
図4は、国内携帯電話市場の世代別(2G〜4G)の歴史的な普及の経緯である。今後の5G端末の普及予測を見るうえでの参考までに示しておく。
図4 国内携帯電話市場の世代別(2G〜4G)に見る歴史的な展開
出所 IDC Japan「国内5G関連市場予測:離陸する5G市場」、2019年6月20日
例えば、現在身近に普及している4G端末(LTE。日本では当初3.9Gとも言われた)は、2011年に登場したが、広く普及し一般化するのに6年を要した。さらに、4Gのフル規格のLTE Advanced系4Gが登場したのは2015年以降であり、これを考慮するとLTE端末はすでに10年も使用されている。
このように、新しい世代(4G)が本格的に普及するには、10年程度を要したことから、5G端末の普及についても、今後数年間は普及の初期段階と見ることができる。
〔3〕国内の5G通信サービスの市場予測:契約数
図5に、2019年〜2023年の5年間の契約数から見た国内の5G通信サービスの市場予測を示す。これは、前出の図3に示した携帯端末数と連動する面もあるが、2023年には2億4千万超の接続数(回線数:MNOやMVNO、IoT接続回線数などを含む)のうち、5G接続は13.5%(2023年の5Gシェア)に相当する約3,300万回線となる。
図5 国内5G通信サービスの市場予測:5G回線契約数と5G回線のシェア
出所 IDC Japan「国内5G関連市場予測:離陸する5G市場」、2019年6月20日
主要な接続機器は、5G携帯電話やIoTデバイスなどである。また、当初はハイエンドと思われる5G携帯電話向けの料金プランについては、5G商用サービスで先行している海外の移動通信事業と同様に、容量無制限プランで提供されると予測されている。