さくらインターネットのプロフィール
写真1 さくらインターネット株式会社
代表取締役社長/最高経営責任者
田中 邦裕氏
出所 編集部撮影
さくらインターネットは、23年前の1996年12月23日に、学生ベンチャーとして、当時18歳だった現社長の田中 邦裕氏(写真1)によって起業された(表1)。
当初は、レンタルサーバビジネスが中心であったが、その後事業を拡大し、総合的なデータセンター事業やインターネットサービス事業を展開している。
現在、約700人の従業員を擁し、東京証券取引所市場第一部(東証一部:2015年11月)に上場している先進的な企業だ(会社設立は1999年8月17日)。
表1 さくらインターネットのプロフィール(敬称略)
出所 https://www.sakura.ad.jp/corporate/corp/profile.htmlをもとに編集部作成
2つのデータセンタービジネスを展開
〔1〕ホスティングサービスとコロケーションサービス
データセンタービジネスは、サーバをコンテンツ提供事業者(コンテンツプロバイダ)などに提供し、その使用料をコンテンツ事業者などから得るビジネスである(図1)。そのサービスは、大きくホスティングサービス(Hosting Service)とコロケーションサービス(Colocation Service)の2つに分けられる(図2)。
図1 企業ビジネスにおけるデータセンターの役割
出所 田中 邦裕、「第3回 IEEE ICDCM(国際直流会議)」(Plenary/ Keynote Speech)講演資料より、2019年5月21日、編集部撮影
図2 データセンターにおける2つのサービス(左はホスティングサービス、右はコロケーションサービス)
VPS:Virtual Private Server、仮想専用サーバ。物理的なサーバにインストールされているOS(ホストOS)の上に、各ユーザー用の仮想サーバが割り当てられ、各ユーザーはその仮想サーバを専有して使用できる。
出所 田中 邦裕、「第3回 IEEE ICDCM(国際直流会議)」(Plenary/ Keynote Speech)講演資料より、2019年5月21日、編集部撮影
- ホスティングサービスとは、さくらインターネットのようなデータセンター事業者がサーバ群などの必要な機材を用意して、顧客(ユーザー企業)に利用してもらうサービスである。最近は、クラウドサービスあるいはIaaS注4とも呼ばれている。
- コロケーションサービスとは、顧客が所有するサーバの設置スペースを用意し、ラック(サーバやネットワーク機器などを格納するデータセンター内の棚)や電力設備、空調設備を完備して顧客に利用してもらうサービスである。さらに、サーバの保守・管理までも請け負う。
〔2〕企業戦略上重要なホスティングサービス
さくらインターネットの特徴は、コロケーションサービスよりもホスティングサービスのほうが圧倒的に売り上げが大きいことだ。ホスティングサービスの場合は、サーバや各ファシリティ(電力設備、空調設備など)のすべてを、同社がアセット(資産)として保有している。
このため、データセンターにおける電源の仕組みを含めて、すべて自社(さくらインターネット)で管理や運営ができ、コントロールできる点が重要な戦略上のポイントとなっている。
▼ 注1
The 3rd IEEE International Conference on DC Microgrids。概要は「インプレスSmartGridフォーラム」を参照。
▼ 注2
北海道胆振(いぶり)東部地震:2018年9月6日午前3時7分に発生したマグニチュード6.7〔震度7:北海道厚真町(あつまちょう)〕の地震。2011年3月11日の東日本大震災(M9.0)の際は、宮城県栗原市で震度7を記録した。北海道胆振東部地震によって、北海道全域の約295万戸がブラックアウト(大規模停電)し、多大な被害をもたらした。詳しくは、本誌2018年10月号、12月号および2019年2月号を参照。
▼ 注3
データセンター:Data Center。略して「DC」ともいわれる。企業などのホームページや動画などのような、インターネットから閲覧できるコンテンツデータは、「サーバ」と呼ばれるコンピュータで管理・発信されている。このサーバを設置・管理することに特化した施設を「データセンター」と呼ぶ。
▼ 注4
IaaS:Infrastructure as a Service。インターネットに接続されたサーバやCPU、メモリ、ストレージなどのITインフラを提供する基盤。最近ではクラウドサービスのことをいう。利用状況に応じた課金サービスもある。以前はホスティングサーバあるいはレンタルサーバとも呼ばれていた。