契約数100万回線を突破したSORACOM
〔1〕SORACOMの接続数とパートナープログラム「SPS」
現在、SORACOMのユーザー数注3は1万5,000を超えている。著名なWHILL、otta、D Freeをはじめ、海外のOpendoor、Sutroなどのスタートアップ企業や、コマツ、パナソニック、キャノンなどの大手企業に導入されている。特に、新規事業に向けた導入ケースが多くなっている。
また、ソラコムのSPS(SORACOM Partner Apace)というパートナープログラムで認定されたパートナー数は116社に達し、申請パートナー数は530社を超えるほどになっており、なお増加が続いている注4。
このSPSは、デバイスパートナー、ソリューションパートナー、インテグレーションパートナー、ネットワークパートナーに分類されたパートナー制度になっており、これによってSORACOMへの接続デバイスやソリューションなどが急速に拡大している。SPSは、SORACOM推進の原動力だ。
このような背景のもと、SORACOMに接続されるIoT回線契約数〔セルラー(携帯電話回線)のみ〕は、2019年前期に100万回線を突破し、5G/IoT時代に向かってさらにその勢いが増大している。
〔2〕SORACOM Air(IoT向けデータ通信サービス)の事例
表1に、多くのSORACOM導入事例の中から最新の2つについて簡単に紹介する。
表1 SORACOM AirのSIM導入の事例(2019年の事例)
CIC:Choshu Industry Co., Ltd.、長州産業株式会社
※ソラトモサービス:太陽光発電設備の設置時に長州産業が所有者となり、ソラトモサービスの終了(10年間)まで、発電した電気は顧客が割安な価格で利用できる。長州産業は余剰電力を売電することによって、設備の設置費用を回収する。サービス終了後(11年目以降)は設備は顧客に無償譲渡され、発電した電気は顧客のものとして活用できる。
出所 玉川憲、「基調講演:IoTを超えて」、株式会社ソラコム、2019年7月1日
事例1は、SORACOM AirのSIMを、発電の計測ポイントであるPV(太陽光発電)計測用のスマートメーターに差し込んで活用した、長州産業株式会社のソラトモサービスの例である。
事例2には、SORACOM AirのSIMを内蔵し、現在の蓄電池の蓄電量や災害時などの必要時における蓄電池の放電を、遠隔から監視・制御できる、伊藤忠商事株式会社の次世代蓄電システムの例である。
表1を見ると、いずれもSORACOM AirのSIMがキーとなっていることがわかる。
グローバルIoTプラットフォームへの進化
ソラコムが、2015年に国内向けにサービスを開始し、2G/3G/LTE(セルラー)に対応したIoT向けデータ通信サービス「SORACOM Air for セルラー」は、図4に示すように、
図4 SORACOM Air for セルラー(2G / 3G / LTE)
出所 玉川憲、「基調講演:IoTを超えて」、株式会社ソラコム、2019年7月1日
- 日本およびグローバルに対応するIoT SIM(カード型SIMとeSIM)
- 特定地域(日本)向けIoT SIM(plan-KM1はカード型SIMとeSIM)
が、提供されている。
グローバル対応のIoT SIMは、世界の通信キャリアと契約し、現時点で130を超える国と地域に対応している。また、例えば米国の場合、AT&TやT-Mobileなどと契約し、マルチキャリア対応となっている。
特定地域(日本)向けIoT SIMは、①NTTドコモ回線用(plan-D、カード型)、②KDDI回線用(plan-K、カード型)、③KDDI回線(LTE-M)用(カード型とeSIMの両方)の3種類が提供されており、2019年8月1日から、後出の図6に示すNTTドコモ回線用のplan-DU(カード型)提供される。
どれを使用しても、SORACOMプラットフォームを同等に使えるようになっている。
図6 SORACOM Air 各種planの比較表(料金プランと各種仕様)
出所 SORACOMサービス概要、2019年7月2日
▼ 注3
ソラコムは、誰もがIoTプレイヤーになれるという思いも込めて、オペレータ数という場合もある。
▼ 注4
認定済パートナー・申請パートナー:ソラコムのパートナープログラム「SPS」(SORACOM Partner Apace)で認定されたパートナーと、申請中のパートナーのことをいう。