[特集]

横浜町(青森県)が横浜市(神奈川県)に風力14基・32.2MWの再エネ電力を供給開始

― ブロックチェーンを利用した「ENECTION」で産地証明が可能に ―
2019/10/08
(火)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

横浜町から横浜市への電力供給の仕組み

〔1〕電力の産地証明が可能

 どのような仕組みで横浜町から横浜市へ電力の供給が行われているのだろうか。その仕組み(スキーム)について、図3をもとに見てみよう。

  1. 横浜町にある「横浜町雲雀平風力発電所」の発電事業者であるよこはま風力発電から提供される電力は、FIT(固定価格買取制度)注4価格で東北電力に売電される。
  2. 売電された電力を、特定卸供給契約注5を結んだ小売電気事業者(みんな電力)が仲買し、需要家(横浜市の需要家)に届ける。
  3. (2)の電力は、小売電気事業者である、みんな電力が開発したブロックチェーン(分散型台帳技術)を活用した独自技術によって記録され、横浜町の風力発電による電気であることの「産地証明」が可能となる。これによって、東北電力から供給される電力は、横浜町の風力発電による再エネ電力を購入したことと等価であることが証明される。

〔2〕ブロックチェーンP2P電力取引システムが活躍

 図3の電力供給の仕組みを、電気の流れとお金の流れの側面から見ると、「横浜町雲雀平風力発電所 ⇔ 東北電力 ⇔ みんな電力 ⇔ 横浜市内の事業者」の4者間では、図4のようになる。

  1. 図4は、発電側の「横浜町雲雀平風力発電所」と消費者側の「横浜市内の事業者グループ(現在6社)」の間で、みんな電力が開発した「ENECTION」(エネクション)という、ブロックチェーンを使用したP2P電力取引システムを介して取引が行われる。
  2. 具体的には、電力の需要と供給のバランスがとれるように(バランスがとれない場合は最悪停電の原因になる)、30分単位で「発電量」と「横浜市内の事業者グループの電力消費量」のマッチング(突合せ照合)が行われ、その取引の記録が台帳に記録される。これによって、「どこで発電した、どのような種類の電源(太陽光由来か風力由来かなど)を、どれだけ購入し消費したか」の証明が可能となる。すなわち「顔の見える電力」となる。
  3. また、「ENECTION」によって、電力小売電気事業者(みんな電力)を介して、電力の生産者と需要家(消費者)が、直接取引することが可能となる。

▼ 注4
https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190322007/20190322007.html
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/008_02_00.pdf

▼ 注5
特定卸供給契約:再エネ電気を電気事業者が購入する契約のこと(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法:FIT法改正)。FIT法改正によって、2017年4月1日以降に特定契約を締結する案件を対象に、買取義務者が小売電気事業者から送配電事業者に変更された。

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