[クローズアップ]

日本でも2030年代の導入目指しBeyond 5G(6G)の戦略的検討が始まる

― 第1回「Beyond 5G推進戦略懇談会」が開催 ―
2020/02/03
(月)
威能 契 インプレスSmartGridニューズレター編集部

世界のBeyond 5G/6Gに関する取り組み

 現在、5Gの導入および普及に向けて、各国でさまざまな取り組みが進んでいるが、その次の世代である「Beyond 5G」(6G)についても、各国で取り組まれ、2030年頃の導入が見込まれている(図2)。

図2 Beyond 5G/6Gに関する世界の取り組みの状況

出所 「5G及びBeyond 5Gに関する現状」、総務省、Beyond 5G推進戦略懇談会 資料

〔1〕6Gで何が変わるか

 6Gでは、(1)eMBB(超高速・大容量通信)は最低10Gbpsから100Gbpsに増加し、(2)URLLC(超低遅延)は1msから1ms未満に、(3)mMTC(多数端末同時接続)は100万台/km2から1,000万台/km2となるなど、5Gの特徴がさらに高度化されるといわれている。

 さらに高信頼化やエネルギー効率の向上や、AIやクラウドコンピューティングを利用した信号処理についても、今後無線部分と一体となった技術開発も期待されている(図3)。これらによって、これまで以上に要求条件が厳しいとされているサービスが創出される。

図3 Beyond 5G(6G)に求められる技術

出所 「5G及びBeyond 5Gに関する現状」、総務省、Beyond 5G推進戦略懇談会 資料

〔2〕ITUのFG NET-2030

 ITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)においては、すでに2018年7月に、2030年以降に実現されるネットワークの技術研究を行うFocus Group on Technologies for Network 2030(FG NET-2030)がSG13(Study Group 13、第13研究委員会)内に設置され、2019年5月には、ホワイトペーパー「Network 2030」として取りまとめている(表1)。

表1 現在のネットワークの主な課題とNetwork 2030の焦点となる主な領域
現在のネットワークの課題 Network 2030の焦点となる領域
サービス-ネットワーク間の連携 データ伝送の時刻保証サービス(Coordinated Service)
ホログラムや感覚情報への対応
ミリ秒(ms)レベルの時刻精度 通信要件に応じてパケット伝送を行う定性通信サービス(Qualitative Communications Services)
アクセス・エッジネットワークの強化(MEC等)
ベストエフォートや低いQoSからの飛躍 多様なネットワークの混在とエッジネットワークの散在・高密度化
ヘテロジニアスなネットワークの共存

出所 総務省資料をもとに編集部作成


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