データドリブンの考え方を業務へ
図7は、これまで述べたAI/機械学習の活用例を全社的に俯瞰して示したもので、データドリブンの考え方を業務に組み込んだ例である。
図7 AI/機械学習の活用:「データドリブン+業務への組み込み」
CX:Customer Experience、顧客体験。顧客がサービスや製品を購入する際に重要となる、事前に体験する価値のこと
HCM:Human Capital Management、情報システムを活用した人事管理手法(人事・人財・管理)
SCM:Supply Chain Management、一連のモノの流れ(部品から商品を生産し流通を経由して顧客に届けるまで)を管理することによって、チェーン全体の経営効率を最適化する経営手法および情報システムのこと
ERP:Enterprise Resources Planning、企業資源計画。基幹業務を一元管理するための仕組み(統合基幹業務システム)。企業経営の基本となる資源(人・物・金・情報)を適切に配置し有効活用する仕組み。ERPをクラウドサービスとして利用できる、クラウドERPも提供されている
出所 野田由佳(日本オラクル)「真のアジャイル経営に向けたデジタルトランスフォーメーション」、2020年2月4日
図7の左には、各業務(CX、HCM、SCM、ERP)をつないだ全社的なデータの連携(データドリブン)を示し、図7の右には、AIや機械学習(ML)などをマーケティングからサービス、IoT、人事/財務に至るまでの各種業務と連携させて組み込んだ例を示している。
この「データドリブン+AI/MLの業務への組み込み」こそ、「Gen 2 Cloud」でDXを実現する心臓部である。
AIを活用するうえで留意しておきたいことは、AIを組み込んだからといって、一足飛びに最高のシステムが構築できるわけではなく、経験を積み上げながら徐々に改良し、システムが高度化して賢くなっていく点である。
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以上、オラクルのセキュリティを重視した次世代クラウド・データセンター「Gen 2 Cloud」を中心に概説してきた。なお、オラクルでは、「未来のバックオフィス・アプリケーション1日体感セッション」として、
- クラウド(Gen 2 Cloud)に触れてみる
- 新しいビジネスプロセスを体感する
- データをGen 2 Cloud上に移行してみる
などを体感できるサービスを提供している。
日本では、2020年3月から5G商用サービスの開始が予定され、4月には電力システム改革の第3弾「発送電の法的分離」がスタートする。さらに、第4次産業革命といわれる産業用IoT(IIoT)の進展も急ピッチで進み、自動運転の実用化(CASE)も迫っている。
このような変化の激しい時代に対応し、新しいビジネスが続々と登場してくる。しかし、新しく多彩なビジネスに、企業の要となる基幹システム(バックオフィス)は対応できるのだろうか。
「2025年の崖」を乗り越えられる自社のバックオフィスをどう構築していくか。オラクルが提唱するDXによって、技術や市場の急速な変化に素早く対応できるバックオフィスや経営(アジャイル経営)をどう実現できるのか。
今後、2025年までの5年の間に、企業がDXシステムを構築できるかどうかが、まさに「企業の盛衰を左右する5年」と見られているのだ。
表2 本記事に登場するキーワード解説
ERP:Enterprise Resources Planning、企業資源計画。基幹業務を一元管理するための仕組み(統合基幹業務システム)。企業経営の基本となる資源(人・物・金・情報)を適切に配置し有効活用する仕組み。ERPをクラウドサービスとして利用できる、クラウドERPも提供されている。
出所 各種資料を参考に編集部で作成