スマートレジリエンスネットワーク(SNR)の設立
〔1〕SNRのプロフィール
ここまで述べた背景のもとに、日本においてAIや5G、IoT、クラウドなどの最新デジタル技術(情報技術)を駆使して実現を目指す、「スマートレジリエンスネットワーク」(Smart Resilience Network:SRN)が、2020年8月5日に設立された(図2、表2、表3)。
表2 スマートレジリエンスネットワーク(SRN)のプロフィール
出所 https://s-reji.com/ および「スマートレジリエンスネットワークの設立および推進についての説明会」の配布資料をもとに編集部で作成
表3 幹事一覧(2020年8月5日現在、敬称略。●印は代表幹事)
出所 東京電力パワーグリッド・関西電力送配電『脱炭素化・レジリエンス強化に向けた分散リソース活用のための「スマートレジリエンスネットワーク」の設立および推進について』、2020年8月5日
スマートレジリエンスネットワーク(以下、SRN)の目的は次の通りである。
- 低コストで地球温暖化を防止する脱炭素化や、レジリエンスの強化(災害に強い設備・街づくり)などの社会課題を解決するため、
- エネルギーやデータ、ヒューマンリソースなど、分散しているリソース(DER)注14を連携させて、
- 産官学の枠を超えて協力し合い、社会共創の基盤を構築すること。
〔2〕SNRの組織構成とその推進体制
図3に、新設されたSNRの活動内容とその推進体制を示す。
図3 「スマートレジリエンスネットワーク(SRN)」の組織構成
出所 東京電力パワーグリッド・関西電力送配電『脱炭素化・レジリエンス強化に向けた分散リソース活用のための「スマートレジリエンスネットワーク」の設立および推進について』、2020年8月5日
SNRは、幅広い企業や団体が参加できるオープンな組織として運営され、3つのWG(ワーキンググループ)、
- WG1:DERの普及拡大を目指し,DERの価値を評価し利用機会の拡大を行う
- WG2:有事においてDERを活用し、レジリエンス強化を図る
- WG3:BCP注15のためにDERの事業機会を拡大し収益を上げる
などを活動の中心に据え、スマートでレジリエントな社会の実現を目指す(図4)。
図4 3つのワーキンググループ(WG)活動のイメージ
出所 東京電力パワーグリッド・関西電力送配電『脱炭素化・レジリエンス強化に向けた分散リソース活用のための「スマートレジリエンスネットワーク」の設立および推進について』、2020年8月5日
▼ 注14
DER:Distrubuted Energy Resources、分散型エネルギー資源。太陽光発電や風力発電をはじめ、蓄電池(EV/PHEVも含む)、エネファーム、DR(デマンドレスポンス)資源など、各所に分散して設置されている電源のこと。
▼ 注15
BCP:Business Continuity Plan、事業継続計画。企業が自然災害や火災、テロ攻撃等の緊急事態に出会った場合に、企業の中核となる事業を継続する、あるいは早期復旧できるようにするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法などを取り決めておく計画のこと。