脱炭素化や再エネの主力電源化時代を迎え、電力システムは急速にイノベーションが行われ新ビジネスが台頭している。これらを背景に経済産業省 資源エネルギー庁は、2020年9月8日、次世代スマートメーター(図)の仕様策定に向けた「次世代スマートメーター制度検討会」を再開した注。
図 次世代スマートメーターのイメージ
コンセントレーター:集線装置。各家庭からの通信回線を束ねる装置。電柱等に設置される
FAN:Field Area Network、地域通信網。スマートメーターとコンセントレーター間の通信
出所 経済産業省 資源エネルギー庁、「次世代スマートメーターに係る検討について」(2020年9月8日)をもとに編集部で作成
現在、全国で設置・導入されているスマートメーターは、2010〜2014年に開催されたスマートメーター制度検討会で仕様が決定し、2014年から本格導入が開始された。2020年3月末現在で、6,105万台が設置済みとなっている。
現行スマートメーターの計測データは、小売電気事業者が電気を販売する際の「30分値計画値同時同量制度」や「インバランス料金の精算」など、電力事業の基盤として活用されている。
スマートメーターの検定期間は10年で、2024年度から順次、新しいメーターへの交換が始まる予定であることから、電力やその周辺ビジネスの将来像を踏まえた新仕様とするため、スマートメーター制度検討会が再開された。
今後、再エネやEV、蓄電池などの分散型リソースの導入拡大や、2022年度からは、現行のFIT制度に加えて市場連動型のFIP(Feed-in Premium)制度の導入など、再エネの市場統合がより一層進むことが予想されている。さらに、スマートメーターとそのシステムは、アグリゲーションやP2P電力取引ビジネス、マイクログリッド運用における基盤としての活用も期待されている。
次世代スマートメーター制度検討会は、1、2カ月に一度のペースで開催され、今年度(2020年度)中に次世代スマートメーターの基本仕様の方向性を取りまとめることを目指している。