NR URLLC機能拡張とmMTC拡張技術
3GPPリリース16の主要機能には、遅延性能や信頼性の向上によって、無線区間の遅延を0.5~1msと短縮し、無線区間の信頼性(パケットデータの送信成功率)を99.9999%(シックスナイン)まで向上させるURLLC向けの拡張機能もある(表1参照)。これらは、多数のロボットが稼働する工場や、今後、自動運転車などの普及に対応できる仕様として期待されている。
表1 更なる遅延性能・信頼性性能の向上により利用シナリオを拡張
出所 永田 聡、「Rel 16 コア 特長機能概要」、TTCオンラインセミナー(2020年10月27日)をもとに編集部で作成
また、mMTCに関する拡張技術として、IoT時代の進展を見据えて、
- セルラーLPWA規格であるLTE based IoT仕様「MTC(LTE-MまたはeMTC)/ NB-IoT」の機能拡張
- NRとeMTCの共存を効率的に運用するための機能の追加
- 既存のeMTC /NB IoTがサポートしていなかった機能のサポート
- 既存機能の検出性能改善やオーバーヘッド削減等の機能改善
- 5G NRによる V2X(弊誌2020年12月号「前編」を参照)
などの審議が行われている。
永田氏は、講演の最後で5G NRによる V2Xについて、「リリース14における4G(LTE)対応のV2Xでは、見通し数百mの長い通信距離への対応や、無線区間の低遅延化(20ms~)を仕様化しましたが、リリース15 に続いて、リリース16の5G NRによる V2Xでは、さらに無線区間の通信速度や信頼性の向上、低遅延化が推進されています」と、自動運転車時代に備えた、3GPPにおけるNR V2Xへの5G NRによる対応をアピールした。
今後の機能拡張の予定とリリース17で検討予定の機能
NTTドコモの山田 郁夫(やまだ いくお)氏注9は、「今後の機能拡張予定~Rel-17検討予定機能」と題して、
- 3GPP リリース17以降のスケジュールとその進捗状況
- リリース17で提案されたユースケース
- リリース17における仕様化の検討項目
について、①検討項目一覧、②コアネットワークを含むサービスアーキテクチャの検討項目、③RAN(無線アクセス網)側における検討項目例などについて解説した。
▼ 注9
山田 郁夫氏:株式会社NTTドコモ ネットワーク開発部 ネットワーク技術戦略担当 担当課長。TTC 3GPP専門委員会 副委員長。