地球温暖化が深刻な事態を迎えている中、経済産業省は2021年2月17日、「世界全体でのカーボンニュートラル実現に関する研究会」(以下、本研究会)注1をスタートし、本格的に「カーボンプライシング」に関する検討を開始した。
カーボンプライシング(Carbon Pricing、炭素の価格付け)とは、CO2排出に価格を付け、排出者の行動を変容させる(変えさせる)政策手法。図に示す「炭素税」や排出量の上限規制を行う「排出量取引制度」などのほか、国境調整措置なども含め、さまざまな手法が存在している。
図 カーボンプライシングの全体像
現在、世界中でパリ協定の実現に向けて2050年までのカーボンニュートラル(CO2排出実質ゼロ)を目指す動きが加速し、自国だけでなく他国も巻き込んで、世界全体でいかに実現するか、検討が進められている。例えば、欧州では、気候変動対策の不十分な国からの輸入品に対して、調整措置を講じる「炭素国境調整措置」についての検討が進められ、2021年6月までには制度の詳細を公表する予定である。また米国も、バイデン新政権が公約の中で「炭素国境調整措置」を明確にしている。
同研究会は、すでに環境省の「カーボンプライシングの活用に関する小委員会」注2とも連携して取り組んでおり、2021年内に一定の方向性を取りまとめる予定である。
注1 正式名称は「世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会」(座長:大橋 弘 東京大学公共政策大学院院長 教授)