[特別レポート]

5G/ローカル5Gとの共存時代!Wi-FiはWi-Fi 6/ 6EからWi-Fi 7へ

― 日本でも新たな6GHz帯の周波数を審議開始 ―
2021/07/01
(木)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

2021年6月9〜23日の15日間にわたって開催された、Interop Tokyo カンファレンス 2021は、「セキュリティ」「DX・IT戦略」「モビリティ」「スーパーシティ」「データセンター」「ネットワーク」「5G」「ShowNet」の8つのテーマ全44セッションで構成され、各分野の最前線で活躍する講師陣によって講演が行われた(注1)。
Wi-Fiは、次世代スマートメーター向け通信方式の候補としても注目されているため、ここでは大江 将史(おおえ まさふみ)
氏(注2)の講演「Wi-Fi(1)“正体”をあっさりと理解する〜今後に向けての再確認〜」から、最新規格であるWi-Fi 6(第6世代Wi-Fi:802.11ax)からWi-Fi 6/6E(802.11be)への展開を中心にレポートする。

Wi-Fiの世代別整理と新名称の登場

〔1〕無線LANとWi-Fiの関係

 5G/ローカル5Gの登場を背景に、最新の無線LAN規格「IEEE802.11ax」(9.6Gbps)の標準化が2021年2月に完了した。802.11axは、第6世代にあたることからWi-Fi 6注3(Wi-Fiの世代については後述)と命名された。

 無線LAN(Wi-Fi)は、すでにオフィスや工場、家庭に広く普及しており、最近では各家庭に設置される次世代スマートメーター向けの通信方式注4の候補としても審議されるなど、その用途を拡張しようとしている。

 図1に、IEEE802.11標準の無線LAN規格の分類を示す。無線LANの規格としては、1997年に最初の「IEEE802.11」標準規格(2Mbps)が策定されて以来、約25年間にわたって、802.11a/b/gから11ax(9.6Gbps)に至るまで、多彩な標準規格が策定され、最新の11ax規格の伝送速度は、最初の802.11標準規格(2Mbps)の実に5,000倍近くも高速になった。

図1 IEEE802.11通信規格の分類

図1 IEEE802.11通信規格の分類

HaLOW
ヘイローと読む。HaloとLowを合わせた造語。Haloは暈(かさ)、すなわち、月や太陽に雲が薄くかかった際に、周囲に光の輪が現れる後光のような大気現象のこと。低消費電力(Low Power)のIEEE802.11ah(Wi-Fi)の電波が暈(かさ)のように広く伝わっていくイメージを表す。

Wi-Fi Aware:Wi-Fi端末間で近接情報を送受信できるというもので、近接情報を基にサービスを発見したり、Wi-Fi Directなどの広帯域通信に移行するといったことを可能とする
IEEE:Institute of Electrical and Electronic Engineers、米国電気電子学会
IEEE802委員会:LAN/MAN Standards Committee、LAN/MAN標準化委員会(1980年2月設立)
IEEE802.11:無線LANワーキンググループ。無線LANの標準規格を策定する作業グループ
FH:FHSS:Frequency Hopping Spread Spectrum、周波数ホッピングスペクトラム拡散方式)
DS:DSSS:Direct Sequence Spread Spectrum、直接スペクトラム拡散方式
出所 大江将史「Wi-Fi(1)“正体”をあっさりと理解する〜今後に向けての再確認」、Interop Tokyo 2021(2021年6月9日)をもとに編集部が一部加筆修正して作成

 その間の1999年には、無線LAN製品の相互接続性を推進するための業界団体「Wi-Fiアライアンス(WFA)」が結成された。Wi-Fiアライアンスで無線LANの相互接続性が認証された無線LAN規格を搭載した製品は、Wi-Fi製品と呼称されるようになった。

〔2〕Wi-Fiを世代別に整理した名称の登場

 一方、モバイル通信規格は、第3世代(3G)、第4世代(4G)、第5世代(5G)といわれるように、わかりやすく世代別の名称で普及するようになった。

 これにならってWi-Fiアライアンスは、

図1の左側に示すように、第4世代Wi-FiをWi-Fi 4(802.11n)、第5世代Wi-FiをWi-Fi 5(802.11ac)、第6世代Wi-FiをWi-Fi 6(802.11ax)と命名し、世代ごとに理解しやすい名称とし、図2に示すようなロゴを作成した(第1世代〜第3世代については世代別の呼称はしない)。

図2 Wi-Fiの世代にあわせた新しい表記法と付与されるロゴ(右2つは認証マーク)

図2 Wi-Fiの世代にあわせた新しい表記法と付与されるロゴ(右2つは認証マーク)

(注)上記の新表記やロゴは、2019年以降の認定製品に付与
出所 https://www.wi-fi.org/who-we-are/our-brands およびGenerational Wi-Fi User Guide(世代別Wi-Fiユーザーガイド)、2018年10月

 図1に示したIEEE802.11の通信規格を、通信距離別・用途別に分類したのが図3である。

図3 屋内から室外までをカバーするIEEE802.11通信規格群

図3 屋内から室外までをカバーするIEEE802.11通信規格群

出所 大江将史「Wi-Fi(1)“正体”をあっさりと理解する~今後に向けての再確認」、Interop Tokyo 2021、2021年6月9日

〔3〕5G/LTEとIEEE802.11の関係

 また、モバイル通信が、5G/ローカル5Gなどの伝送速度が10Gbpsのようなギガビット通信時代を迎えたところから、Wi-Fi 6(802.11ax、9.6Gbps)と競合するのか、あるいは共存させて使うのかなど、関心が高まっている。

 両者には、無線技術の周波数の取り扱いなど、多数の共有技術があるところから、5G(3GPP)とWi-Fi 6(WFA)は互いに、リエゾン(連携)して、例えば、無線用半導体チップ(マーチャントシリコン)を汎用的チップとして使用して廉価化するなどしている。


▼ 注1
主催は株式会社ナノオプト・メディア(ライブ配信)。

▼ 注2
大江氏は、ネットワークセキュリティ・無線通信等を専門とし、自然科学研究機構国立天文台 情報セキュリティ室次長、慶応義塾大学政策・メディア研究科 特任准教授。

▼ 注3
無線LANとWi-Fiの関係:Wi-Fiという用語は、IEEE802.11で策定された規格(例:802.11n)を実装した製品が、Wi-Fiアライアンスによって相互接続の検証が完了した(相互検証プログラムをクリアした)機器のことを指す。

▼ 注4
現在のスマートメーターの通信方式としては、920MHz帯のWi-SUNやPLC(Power Line Communication、電力線通信)などが使用されている。

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