破壊的イノベーションを起こす4つのスーパーパワー
写真 INTEL ENERGY FORUM 2021で開会の挨拶をするインテル株式会社の鈴木 国正 代表取締役社長
出所 INTEL ENERGY FORUM 2021(オンライン開催、2021年7月7日)、開会の挨拶より
冒頭、鈴木氏は、現在日本が直面している、長期化するコロナ禍で顕在化したデジタル化への遅れや、脱炭素化、持続可能なエネルギーの普及、大規模自然災害への備え、クローバルサプライチェーンリスク、サイバー攻撃など、さまざまな課題に触れた。中でも「デジタル化への遅れは、とても重いものになっている」と述べた。
インテルでは、図1に示す、クラウド、コネクティビティ(5Gやその先)、AI(人工知能)、インテリジェントエッジなどの技術トレンドを4つスーパーパワーと呼んでいる。これらは、デジタル化を大きく進展させるドライビングフォースとなっている。鈴木氏は、「これらが今後もさまざまな分野で、破壊的なイノベーションを起こす」と語った。
例えば電力エネルギー事業では、EVや他の事業と連携して、社会インフラを統合的に担うUtility 3.0という形態に向かうためには、スーパーパワーが必要不可欠な技術領域になる。さらに、日本の多くの社会課題に対しては、スーパーパワーによってソリューションを創出できるという期待感が、産業界や公的機関にもある。
図1 破壊的イノベーションを起こす4つのスーパーパワー
出所 INTEL ENERGY FORUM 2021(オンライン開催、2021年7月7日)、開会の挨拶より
インテルが取り組む技術革新領域
データをいかに利活用していくかは、企業や業種を超えて大きな課題となっている。 インテルでは、データの価値を中心に据えたDcX(データ・セントリック・トランスフォーメーション)を戦略として、データ中心の技術力や開発投資を継続的に行っている。
図2は、インテルが取り組む技術革新領域である。
図2 インテルが取り組むデータの民主化と技術革新領域
出所 INTEL ENERGY FORUM 2021(オンライン開催、2021年7月7日)、開会の挨拶より
1つは、IOWN(アイオン)グローバルフォーラム次世代ネットワーク注1である。
このままデータ量が爆発的に増え続けると、今後10年間で現在のネットワークは限界に達する。そこで、光と電気を融合させた革新的な技術開発「光電融合」を進め、超低遅延で高速なネットワークを2030年までに実現させる。
2つ目は、サステナビリティ(持続可能性)のためのカーボンニュートラル・コンピューティングの実現である。インテルでは大型データセンターにおいて、特に冷却のための電力消費が多い。電力をカーボンフリー電力にすることに加えて、低消費電力化に向けた取り組みを、クラウドサービス・プロバイダと進めていく。
3つ目は、「連合学習」注2を活用したデータセキュリティの強化である。ハード/ソフトの両局面からアプローチできる、インテルならではの活動として力を入れてセキュリティを強化し、データの企業間連携を促進していく。
▼ 注1
IOWN:Innovative Optical & Wireless Network。スマートな世界を実現する、最先端の光関連技術および情報処理技術を活用した未来のコミュニケーション基盤。NTT、ソニー、インテルが2019年10月31日に立ち上げた業界フォーラム。
▼ 注2
連合学習:分散コンピューティングが進む中、データを共有せずに、分散した状態で機械学習を行う手法。2017年にグーグルが提唱した。学習モデルのみを取り扱うことで、データの保護を行うという考え方。