[標準化動向]

IPTVの標準化動向(2):IPTVの定義決まる

2006/12/18
(月)
SmartGridニューズレター編集部

NGNのキラー・アプリケーションとして注目される、IPTVの標準化作業が急ピッチで進んでいる。今回は、2006年10月16〜20日、韓国・プサンで開催されたFG IPTV(ITU-T内のFG)の第2回会合の模様をレポートする。前回会合では意見の分かれたIPTVの定義付けが合意に至ったほか、IPTV受信端末の機能ブロックやインタフェースなどが検討され、アーキテクチャに関しても活発な議論が行われた。詳細な技術仕様は次回会合(2007年1月)から順次検討されていく見込みである。

200名を越える参加者、半数はアジア勢

FG IPTVの第2回会合は、2006年10月16〜20日、韓国・プサンのプサンロッテホテルで開催された。前回と同様、200名を越える参加者が集まり、IPTVへの注目の高さを窺わせた。参加国数は18カ国におよんだが、開催地の関係上、アジアからの参加者が大多数を占め、開催国韓国からは93名、中国からは32名、日本からは30名の参加があった。

一方、ヨーロッパ勢では、ドイツ、フランス、英国からは5〜6名で、ヨーロッパ全体では20〜30名ほどが参加していた。米国からは18名の参加があったが、国の規模からすると少ない印象を受けた。

米国は、技術は国内でしっかり固めてから標準化の舞台に出すという傾向があり、日本などと標準化作業に対する見方が異なる部分がある。つまり、デファクト・スタンダードとして確立した規格を、標準化機関が追認するという方向で技術開発を進めているように感じる。例えば、米国の標準化機関ATIS(Alliance for Telecommunications Industry Solutions)も提案文書を提出しているが(http://www.itu.int/md/T05-FG.IPTV-C-0224/en から無料でダウンロード可能)、それを見ても独自路線で行こうとする姿勢が感じられる。

提案文書の数は153件で、リエゾン文書(関係標準化組織からの提案文書)が17件。リエゾン文書には、同じITU-TやITU-Rの関係するSG(Study Group)からのものと、ITU外部からのものがある。後者には、IECのTC100(※1)や、ISMA(Internet Streaming Media Alliance ※2)などからリエゾンが送られてきていた。

全提案文書を国別に見ると、日中韓で3分の2を占めた。ただ、中国からの文書は、文書によって方向性があいまいで、標準化に参画するための一貫したポリシーに欠けている部分はあった。これは、これから標準化に関わる20代、30代の若手技術者の育成を目的に書かせているという向きもある。

用語解説

※1 IECのTC100
IEC(International Electrotechnical Comission、国際電気標準会議)の中のTC(Technical Committee、専門委員会)のひとつ。音声、映像、マルチメディア・システム関連機器の国際標準化や、システム間相互運用性の規格化などを行っている。

※2 ISMA: Internet Streaming Media Alliance
マルチメディア・データをストリーミング配信するための技術標準を策定する業界団体。

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