「道の駅 たかのす」で活躍するVolter40
〔1〕観光資源や地元サービスとして
編集部 北秋田市の「道の駅 たかのす」に、日本で初めて導入されたVolter40は、どのように利用されているのでしょうか。
北林 これは、当信用組合の顧問である岡村 久和氏(亜細亜大学 都市創造学部 教授)のアドバイスで実現した小型のバイオマス発電所ですが、電気の発電だけでなく、熱を足湯に利用する観光資源としても活躍しています。
このように、地元の人々に「Volter40」の活躍ぶりを見ていただいていますが、地元の人々には、自動車などの運転による足の疲れの回復やリウマチに効くなどと、評判を呼んでいます。
道の駅は国の資産なので、実現までの手続きは大変でしたが、国土交通省の理解を得られ、全国のモデル事業の1つとして実施することができました。
〔2〕燃料としての木質バイオマスチップの調達
編集部 燃料となるバイオマス発電用の木質チップはどのように調達しているのでしょう?
北林 北秋田市の森林における間伐材を使い、東北経済産業局で認定された仕様の木質チップを使用しています。
この燃料となる木質チップ(生チップ)は、秋田県上小阿仁村(こあにむら)にあるチップ工場である「KSウッドソリューション」などから購入しています(写真4、写真5)。
写真4 北秋田郡上小阿仁(かみこあにむら)の木質チップ工場「KSウッドソリューション」の外観
出所 編集部撮影
写真5 KSウッドソリューションの工場内の設備
出所 編集部撮影
写真6 ボルター秋田本社内に設置された英国WoodTek製のチップ乾燥機
Volter40からの排熱(温水)を利用して木質チップを乾燥している。
出所 編集部撮影
このチップ工場でつくられるチップ(例:63mm以下の生チップ)の含水率は約50〜60%で、これをVolter40規格の含水率15%以下に乾燥したチップにして、燃料として使用します。この木質チップ(生チップ)をいかにVolter40の燃料向けに乾燥させるかが難しい課題でした。
乾燥機については、実は自作したり、外注したりしてVolter40用の乾燥チップがつくれる機械を探したのですが、乾燥にムラができたりして、日本製のものではなかなかうまくいきませんでした。水分を均一にするのが難しかったのです。この乾燥機械に対しても、さまざまな投資を行いました。
沼 幸いにも、大変優れた英国のWoodTek(ウッドテック)社のチップ乾燥機(写真6)を見つけることができたのです。これをボルター秋田本社に導入し、含水率15%以下の乾燥チップ(大きさ:63mm)にして、Volter40に供給しています。
この乾燥機は、1日5トンの乾燥チップを製造可能です。これは1日でVolter40を5台分稼働させるほどのチップ容量となっています。さらに特徴的なことは、WoodTek製の乾燥機では、Volter40からの排熱である温水を利用して、木質チップを乾燥できるという点です。