[標準化動向]

デジタル放送の標準化動向(1):世界各国のデジタル放送と標準化動向

移動端末向けにワンセグ、DVB-H、DMB、MediaFLOが登場
2006/08/01
(火)
SmartGridニューズレター編集部

各国の放送事情=米国=

[1] 地上デジタル放送(DTV)

米国では、1998年にCBS、NBC、ABC、FOXの4大ネットワーク、およびPBSでATSC方式による地上デジタル放送(DTV)を開始した。2005年6月現在では、全米で1500近くの放送局がDTVを開始し、視聴世帯ベースでの到達率がほぼ100%に達するとともに、DTV受信機の出荷台数も累計で3500万台を超えるなど、ここにきてようやく普及のステップが加速しつつある。

米国では、2009年2月17日にアナログ放送を終了することを決定しており、またすべてのテレビ受信機に対して2007年3月までにDTVチューナー内蔵を義務付けるという施策によって、着実なデジタルへの完全移行を目指している。

[2] 衛星デジタル放送

1994年に、DirecTV/USSBが多チャンネル衛星デジタル放送サービスを開始した後、新規参入および買収を経て、現在はDirecTVとEcho Starの2社体制となっている。例えばDirecTVが1500万人を超える加入者を獲得するなど、米国の衛星デジタル放送はすでに確固たる地位を築いた感がある。

各国の放送事情=欧州=

[1] 地上デジタル放送

欧州では、1998年の英国でのDVB-T方式による地上デジタル放送開始を皮切りに、スウェーデン(1999年開始)、スペイン(2000年)、フィンランド(2001年)ドイツ(2002年)、オランダ、イタリア(2003年)などの国が後に続いた。最近ではフランス(2005年)でも開始され、EU主要国の地上デジタル放送はほぼ出揃った。

先行した英国を例に取ると、1998年にBBCほか6チャンネルによる欧州初の地上デジタル放送を開始して以来、有料放送サービス「ITV Digital」の経営破たんといった紆余曲折を経つつも、2006年3月現在で709万世帯の普及状況となっている。

欧州(EU加盟国)では、完全デジタル移行の目標を2012年に置いている。すでにドイツのベルリン地区のように2003年に地上アナログ放送を停波し、世界で初めて完全デジタル移行に成功した例もある。

[2] 衛星デジタル放送

1996年にドイツのDF1、フランスのCANAL+(カナル・プリュス)が欧州初の衛星デジタル放送を開始して以来、英国(BskyB)、イタリア、スペイン、スウェーデンなどで次々とDVB-S方式による衛星デジタル放送サービスが立ち上がった。

例えば、BskyBのデジタルサービス「Sky Digital」は、2006年3月時点で約770万世帯の顧客を獲得している。

各国の放送事情=アジア(韓国、中国)=

韓国では、2001年よりATSC方式による地上デジタル放送を開始した。一時、普及が足踏みした時期があったが、最近やや持ち直し、2005年末時点で全世帯(1600万世帯)の15%の普及率となっている。また、2002年より有料衛星デジタル放送「スカイライフ」もサービスを開始しており、現在200万を超える視聴者を獲得している。

中国のデジタル放送方式はまだ確定してらず、独自方式を採用する方向で検討中であるが、2008年の北京五輪をターゲットに地上デジタル放送を開始する計画となっている。

各国の放送事情=日本=

日本では、1995年にDVB-S方式をベースにしたCSデジタル放送(現SkyPerfecTV!)がサービスを開始したのを皮切りに、2000年にISDB-S方式によるBSデジタル放送、そして2003年にはISDB-T方式による地上デジタル放送を開始した。

2006年5月時点でのBSデジタル放送受信機は約1300万台、地上デジタル放送受信機は約1100万台(ともにBS・地上共用受信機を含む)となっており、短期間で普及が進んでいることがうかがえる。なお、地上アナログ放送は2011年7月に終了することが電波法上定められており、それまでにデジタル放送への完全移行が求められている。

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