[技術動向]

RFIDの基礎と最新動向(3):RFIDのしくみ(その2)RFIDリーダー/ライターと3つのID体系

2006/09/13
(水)
SmartGridニューズレター編集部

本連載「RFIDの基礎と最新動向」では、2006年から各種産業分野で本格的な運用事例が目立ちはじめたRFIDの基礎から応用例、最新動向までを取り扱います。第3回目は、前回に引き続き、RFIDのしくみを解説します。また、現在ある代表的な3つのID体系も紹介します。

※本連載で使用する主なRFID関連用語は、JIS X 0500 データキャリア用語において次の表1のように規定されています。

表1 本連載における用語とJIS X 0500 データキャリア用語との対照表
表1 本連載における用語とJIS X 0500 データキャリア用語との対照表(クリックで拡大)

RFIDリーダー/ライターの役割と形態

RFIDリーダー/ライターの役割は、RFIDタグからの電波を受信し、それを処理してRFIDタグのIDや付加情報をコンピュータなどに渡すことです。また、電源を内蔵していないパッシブ型RFIDタグを使用する場合には、RFIDタグに対して、電磁誘導や電波によってRFIDタグの動作に必要な電源を供給する役割も担います。

RFIDリーダー/ライターの形態は、据え置いて使う据置型(写真1~3)と、手に持って使えるハンディ型(写真4)に大別できます。据置型は、机の上などに置いて使うトレー型(写真1)、床に置いて使うゲート型(写真2、3)などに分類できます。

写真1,2,3
写真1、2、3(クリックで拡大)

据置型の場合には、RFIDリーダー/ライター本体にアンテナが内蔵されている機種と内蔵されていない機種があります。一般に、据置型RFIDリーダー/ライターの場合、アンテナとRFIDリーダー/ライター本体が別になっていることが多いようです。

写真4、5、6
写真4、5、6(クリックで拡大)

このほか、アンテナが組み込まれた商品の陳列棚(スマート・シェルフ)もあります(写真5)。また、キオスク端末(RFIDを使って情報を閲覧、登録するための専用端末、写真6)では、端末にアンテナが組み込まれていることがほとんどです。
ハンディ型RFIDリーダー/ライターの場合、携帯電話にジャケットのように取り付けるものや(写真7)、PDAなどに取り付けるCFカード型のものも提供されています(写真8)

写真7、8、9、10
写真7、8、9、10(クリックで拡大)

また、RFIDリーダー/ライターが内蔵されている携帯用端末もあります(写真9)。このほか、試作品レベルでは、携帯電話に取り付けるRFIDリーダー/ライター(写真10)なども作られています。これを使えば、自分の携帯電話に気軽に情報を取り込めます。応用例として、店頭の映画DVDのパッケージのRFIDタグから情報を読み込み、携帯電話でそのDVDのサンプル映像を見られるようにするシステムなどが開発されています。

写真11 アクティブ型RFIDタグ用送受信機
写真11 アクティブ型RFIDリーダー/ライター

これまで紹介したRFIDリーダー/ライターは、パッシブ型RFIDタグに対応した機種です。一方、アクティブ型RFIDタグに対応したRFIDリーダー/ライターの場合は、RFIDタグへ電源を供給する必要がないため、実質的には無線送受信機で、外観も一般的な無線送受信機と変わらないことがほとんどです(写真11)

※パッシブ型/アクティブ型については第2回で解説しています。

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