再利用可能が大型導入の決め手
工場へのRFIDの導入では、きめ細かな発注・在庫管理などにより目に見える成果を上げているメーカーもあります。工場への導入で課題となるのは、RFIDタグのコストとRFIDタグに書き込まれている情報を人間の目で直接確認できないということです。

発行機・消去機(フェニックス)
前者はRFIDタグを再利用することで解決でき、後者はRFIDタグに必要な情報を印字することで解決できます。リコーのRFIDタグ「RECO-View」には、最大でA4サイズの書き換えが可能な印字面があり、黒色印刷で約1,000回まで書き換えられます。しかも、印刷面へ手書きして、終了時には印字面と一緒に消去できる「加筆ペン」の開発も進められています。
一方、部品単位でRFIDタグを取り付けて入出庫管理を行うようなケースでは、比較的小さなRFIDタグを大量に発行し、消去する必要が発生します。フェニックスの「大型リライトRFタグ発行機・消去機」(写真5)では、最大500枚のRFIDタグを連続発行できるほか、消去機には、消去の際にRFIDタグの汚れを除去するクリーニング機能も備えています。これにより、RFIDタグの再利用が容易に行えるようになるので、運用コストを抑えることができます。
普及の準備は整いつつある、しかし
ここで紹介した例のように、RFIDの導入に必要な製品やサービスは、種類が増えるとともに質も向上しています。また、その背景には、先進的なユーザーによる導入や運用の実績があると考えて差し支えないでしょう。そして、製品やサービスの充実と先進的なユーザーの導入実績によりRFIDが普及するための準備は整いつつあると言える状況です。
しかし、誰もが導入できるようになるには、低くなりつつあるものの費用などのハードルが依然として存在すると考えられます。一方で製品やサービスの費用が下がるには、ある程度の販売実績が必要です。そのように考えると、爆発的な普及には、まだ時間がかかると予測されます。それでも普及の方向へ向かっていることは確実であり、あと2年か3年もすれば、普及へのスピードは、さらに加速すると予測されます。