[標準化動向]

802.1/802.3の標準化動向(4):100Gイーサネットの実現に向けて標準化の争点が明確に

2006/11/08
(水)
SmartGridニューズレター編集部

100Gイーサネット(100GbpsEthernet)の実現に向けて、具体的な標準化活動が活発化してきた。ここでは、去る9月18日から21日にかけて、テネシー州ノックスビルで開催されたIEEE 802.3WGの中間会合(Interim Meeting)の内容をレポートする。本会合の目玉は、後半2日間で行われた「高速化イーサネット検討会(Higher Speed Study Group)」の第1回会合であり、100Gイーサの実現に向けて、シリアル方式かパラレル方式か、また、10Gギガ多重か25ギガ多重かなど、標準化の争点が明確になり始めた。

HSSG(高速化イーサネット検討会)で目標仕様の検討へ

【1】HSSG設立の背景

2006年7月に行われたIEEE 802委員会総会において「10ギガイーサの次のスピード(Higher Speed)のイーサネット」のCFI(Call for Interest、標準化の意義について説明し、検討開始の是非を問うための会合)が開催された。このCFIには200名を超える参加者が集まり、多数の賛成により高速化イーサネットの検討開始が決議され、高速化イーサネット検討会(HSSG:Higher Speed Study Group)が結成された。

高速化イーサネットの通信速度については、このHSSGを通じて決定されることになるが、主に次の2点から、100ギガクラスの通信速度をめざすものと考えられている。

(1) これまで世代ごとに10倍の高速化を実現してきたイーサネットの歴史

(2) 音声や動画を取り扱うことによりインターネットの必要帯域が爆発的に増加してきており、数年後には100ギガクラスの帯域が必要となる(40ギガなどでは間に合わない)。

〔2〕2007年3月までにPARや目標仕様を策定

IEEE 802委員会における「検討会(SG:Study Group)」の役割は、標準化そのものではない。標準化開始に向けて、標準化の目的や目標仕様を定めることである。検討会の存続期間は6カ月と定められており(※1)、この期間内に「標準プロジェクト承認依頼(PAR:Project Authorization Request)を取りまとめ、正式な標準化作業をスタートさせるのがその役割である。

HSSGも、6カ月後の2007年3月のIEEE 802委員会総会までにPARや目標仕様(Objectives)を策定し、802.3WGから正式な標準化開始の承認決議を得る必要がある。

※1 6カ月以内にPARの取りまとめができなかった場合、WGに対して延長依頼を提出し、決議で認められた場合に限り、SGの存続期間を延長させることができる。

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