広帯域移動無線アクセスシステムの実用化に向けた取組み
高速インターネット・アクセスに対する利用者ニーズの高まりから、DSLや光ファイバー等、大容量のデータ伝送が可能なブロードバンド・サービスが順調に普及しつつあります。一方、無線システムについては、3G等によって音声のみならずデータ通信サービスが提供されていますが、都市部を中心として、第3世代携帯電話のデータ伝送速度を上回る高度な移動通信サービスへの要望が高まっています。
このような状況を受け、総務省では、2006年2月、2.5GHz帯を利用する広帯域移動無線アクセスシステムの技術的条件について、情報通信審議会に対し諮問しました。同審議会では、2006年中の答申に向け、現在精力的に審議が行われています。
広帯域移動無線アクセスシステムのサービスイメージを図6に示します。広帯域移動無線アクセスシステムは、一定のモビリティを持つワイヤレス・ブロードバンドシステムとして定義されます。3Gでは容易に対応しにくい、上り/下りの広帯域利用に対応するものとして、公衆向けの広帯域データ通信サービスを行うための無線システムです。広帯域移動無線アクセスシステムの主な特徴は、次の通りです。
(1) オールIPベースのネットワークに接続することを前提とし、導入コストや運用コストを抑えてサービスを提供
(2) IP接続レベルで常時接続し、帯域を時間共有することによって、瞬時に効率的な高速伝送を実現
(3) 稠密なエリア展開を前提とするが、地域を限定(都市部を中心にカバー)したサービス導入を行う可能性もあり
(4) 少なくとも中速程度の移動速度でモビリティが確保
第4世代移動通信システムに対する取組み
第4世代移動通信システム(IMT-Advanced)は、光ファイバ時代の超高速インターネット(100Mbps)がどこでも使える無線システムとして、2010年頃からの実現に向け、国内外で検討が進められています。第4世代移動通信システムのコンセプトを図7に示します。
ITU-R(国際電気通信連合 無線通信部門)においては、2007年10月開催予定の世界無線通信会議(WRC-07)において、使用周波数帯を特定することとしています。日本からは、3.4~4.2GHz、4.4~4.9GHzを候補周波数帯として、ITU-Rに提案しています。
WRCにおいて周波数が特定された後、無線技術の詳細な標準化についてもITU-Rにおいて引き続き検討が開始される予定ですので、我が国としても国際標準の策定に向け、積極的に寄与していくこととしています。