【2】B-TAGフレーム
先ほどのI-TAGフレームに対して、さらに802.1ah PBB網内の経路制御のための「B-TAG」(図6)を付加したものがB-TAGフレームである。前述のI-TAGフレームは、2つのPBB装置間の直接接続(アタッチメント)にのみ使用され、802.1ah PBB網内の通常のフレーム中継にはB-TAGフレームが使用される。
B-TAGの構成は、802.1adで規定されるS-TAGと同一で、B-TAG TPID(B-TAG Protocol Identifier、B-タグ・プロトコル)と、B-TAG TCI(B-TAG Control Information、B-タグ制御情報)で構成される。B-TAG TCIには802.1ah PBB網内でのVLAN識別するためのB-VID(Backbone VLAN ID、バックボーンVLAN ID) 12ビットが含まれる。
図7に示すように、802.1ah網では、802.1ad網から届いたユーザフレームをエッジ・スイッチ(BEB)においてカプセル化して24ビットのサービス・インスタンスID(I-SID)を付与した上で、12ビットのB-VIDで識別されるB-VLANトンネルを経由して、目的のエッジ・スイッチまで中継される。
802.1ah PBB網内の中継スイッチにおけるアドレス学習にはB-MACアドレスとB-TAGに含まれるB-VID(12ビット)が使用され、ユーザーMACアドレスが学習されることは無い。これにより、802.1ah PBB網では、802.1ad網のようにユーザMACアドレスの増加によりコア・スイッチのアドレス学習テーブル(FDB)が圧迫される心配がない。
このように、経路制御のための情報(B-VID)と、ユーザ(サービス・インスタンス)識別のための情報(I-SID)を階層的に分けて使用する方法は、EoMPLS(Ethernet over MPLS)において規定されるトンネルラベルとVCラベルのスタックラベルの概念と類似する。
EoMPLSと802.1ahとの大きな違いは、EoMPLSのトンネルがポイント・ツー・ポイント接続のみをサポートしていることに対して、802.1ahでは、ポイント・ツー・ポイント、およびポイント・ツー・マルチポイントのトンネルが利用できる点であろう。B-VLANのマルチポイント・トンネルを使用することで、ポイント・ツー・ポイントに加えて、ポイント・ツー・マルチポイントの接続サービスを提供することが可能となる。