発展型スマートシェルフ
RETAIL TECH JAPANに設けられた日立のブースでは、これまでより機能が拡張されたスマートシェルフ(写真7)が出展されました。これまでのスマートシェルフでは、来店客が手に取った商品を検知することや、手に取ったことを検知した商品に関連する情報をディスプレイに表示することができました。今回出展されたスマートシェルフでは、同じ商品を同時に複数個取った場合に、万引きの疑いがあるということで、警告ブザーを鳴らしたり、棚の照明色を変えたり(赤の点滅)することもできます。
用途を拡大するFeliCa
予想通りFeliCa Networksのブースには、多くの来場者が集まっていました。同ブースでは、流通ソリューションとして、ワイズマートで運用している、会員証をモバイルFeliCa対応にできるデモが行われました。
また、金融機関を対象として、モバイルFeliCaを利用するデモや、チケットの販売にモバイルFeliCaを利用するデモなどが行われました。
紙でできた新非接触ICカード
大日本印刷のブースでは、紙でできた1枚50円(10万枚ロットの場合。従来の約1/10)の非接触ICカードが出展されました(写真9)。日本では、あまり使われていないISO/IEC 14443 タイプA(連載第8回を参照)で、メモリ容量も小さいですが、チケット、商品券、診察券などに利用可能で、非接触ICカードの裾野が広がることが予想されます。
新非接触ICカードと一緒に、ドコモ・システムズの非接触ICカードリーダー/ライターWB-1SNも出展されました(写真9)。このリーダー/ライターは、リーダー/ライターの機能のほかに、液晶タッチパネル、カメラ、スピーカー、内蔵マイク、PCカードスロット、CFスロットなどを搭載しています。WB-1SNには、3種類のモデルがあり、FeliCa(WB-1SF)、ISO/IEC 18092(WB-1SN)、ISO/IEC 15693(WB-1SR)のそれぞれに対応しています。登下校通知システム、入退出管理システム、駐車場精算システム、食券精算システムなどでの利用が考えられます。
豊富な色数で1,000回以上の書き換えが可能
カラーリライタブルカード
非接触ICカードの表面に書き換え可能な文字を印刷する技術としてロイコリライトがあり、Suica定期券などで利用されていますが、書き換え可能回数が500回程度と言われているほか、選択可能な文字色も限られています。日本信号のカラーリライタブルカード(写真10)は、カラー印字で1,000回以上の書き換えが可能となっています。
ベース色は、青、黒、赤、緑、シルバーから選択でき、文字色は、それぞれ、ピンク、白、濃い黄、オレンジ、薄い黄となっています。ロイコリライトとは異なり、文字の消去にあたっては、カードを-20℃まで冷却する必要がありますが、冷却にアルコールを使用することから、文字の消去とカードのクリーニングを同時に行うことが可能です。なお、文字の書き込みにあたっては60℃以上へ加熱する必要があります。
おサイフケータイ体感ウォーク
IC CARD WORLD、RETAIL TECH JAPAN、SECURITY SHOWの会場では、「おサイフケータイ体感ウォーク」が実施されました。これは、事前に専用アプリをおサイフケータイにダウンロードし、必要な登録をしておくと、おサイフケータイをかざすだけで会場へ入場できる(写真11)、会場案内や出展企業名の一覧を表示できる、おサイフケータイ用のデモが体験できる、ポイントラリーに参加できるといった特典があるものでした。
利用範囲を拡大する『iD』
おサイフケータイを利用したクレジットの「iD」も、NTTドコモを筆頭にプロモーションに余念がありませんでした。ドコモは、ブース全体がiD関連の出展で、おサイフケータイを利用したキャッシング、タクシー料金の精算、飲料水の自動販売機のデモなどが行われました(写真13、14)。ちなみに、いずれも2007年1月末の時点で、会員登録は173万人、決済端末登録数は11万台、参画しているカード会社はドコモグループを除いて51社ということです。