Q1-1:アナログ放送とデジタル放送との違いは?
デジタル放送は、今までのアナログ放送と何が違うのでしょうか?
≪1≫アナログ放送とデジタル放送
日本では、1953年にNHK(Nippon Hoso Kyokai、日本放送協会)と日本テレビジョン放送網(株)によって初めて白黒の商用テレビ放送が開始されました(2003年はテレビ放送50周年であった)。また、商用カラー・テレビ放送は1960年から開始されています。日常、私達がよく目にするテレビは、これらの技術のうえに成り立っているものであり、基本的な方式は放送当初から変わっていません。
このようなテレビ技術は、アナログの技術を基にしたもので、デジタル放送と対比して呼ぶ時にはアナログ放送と呼ばれています(注. 本コーナーでは、英語のDigitalという用語は、「ディジタル」ではなく政府などの公的文書と同じく「デジタル」と表記する。また、「地上デジタル放送」と「地上波デジタル放送」と言う用語が混在しているが、本書では「地上デジタル放送」と表現する)。
これに対してデジタル放送は、過去50年間、ほぼ同じ方式で放送されてきたテレビを根底から変えるもので、テレビの大革命と言っていいかもしれません。
表1-1に、アナログ放送から各種のデジタル放送に至るまで、現在受信できる放送サービスを、まとめて示します。
それでは、デジタル放送は今までのアナログ放送と何が違うのでしょうか? この質問は、一見、簡単に答えられそうですが、実は大変深い内容を含んでいます。「本書のすべてがその回答です」と言いたいところですが、それではあまりに不親切ですので、今までの放送と比較してデジタル放送によって「何が良くなるのか」について、ここでは整理していきましょう。