すで始まるスマートグリッド用語
2014年10月29日 20:13
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スーパーWi-F(i IEEE 802.11af)
- [Super Wi-Fi]
- 読み方スーパー・ワイ・ファイ(アイ・トリプル・イー802.11エー・エフ)
- 内容ホワイトスペースを利用してスーパーWi-Fiを認可
TVホワイトスペースに関して、IEEE 802.22規格が固定端末の通信を目指したのに対し、IEEE 802.11af(タスクフォース11af)は、IEEE 802.11標準に、ポータブル端末におけるTV ホワイトスペースの利用を定義することを目的に、2010年1 月に設立された〔IEEE 802.11af:Wireless LAN in the TV White Space(TVホワイトスペースにおける無線LAN)〕。2010 年9 月には、米国のFCC(Federal Communications Commission、連邦通信委員会)が、UHF(Ultra High Frequency、極超短波)帯内(512MHz〜698GHzの周波数帯)のホワイト・スペースを利用して、免許不要のWi-F「i スーパーWi-Fi」(Super Wi-Fi)を認可すると発表した。この「スーパーWi-Fi」によって、これまで、「2.4GHz 帯」(802.11b/g)と「5GHz 帯」(802.11a)、「2.4GHz 帯/5GHz帯」(802.11n)の周波数帯で利用さ れてきたWi-Fiを、より信号減衰が少ない周波数帯で動作させることができるため、長距離通信で利用できる可能性が出てきた。さらに、無線LAN機器によって、メッシュ状(網の目状)のネットワークを構築するための802.11s規格の標準化が完了した(2011年10月[→])こともあって、無線LANメッシュによるスマートグリッド用のネットワーク構築が期待されている。
スーパキャパシタ
- [Super Capacitor]
- 読み方-
- 内容新しい蓄電装置
炭素やアルミなどを原料とした簡単な蓄電装置で、電池のように重金属を使用しない、環境にやさしい面がある。
スタックスネット
- [Stuxnet]
- 読み方-
- 内容強力なコンピュータウィルスの一種
特定の制御システムをターゲットにしたMicrosoft Windowsで感染する強力なコンピュータウイルス。
スマートアプライアンス
- [Smart Appliance]
- 読み方-
- 内容スマートグリッドに対応している家電(次世代家電)の総称
日本では「スマート家電」と呼ばれることもあり、スマートグリッドに対応し、通信機能を備えている家電(次世代家電)の総称として使われている。
スマートエネルギーネットワーク
- [Smart Energy Networks]
- 読み方-
- 内容スマートグリッド研究テーマのひとつ
欧州の「第7次FP(FP7:Seventh Framwork Programme、第7次フレームワークプログラム)」の9項目のテーマのうち、5番目の「エネルギー」のテーマの中に、スマートエネルギーネットワーク(Smart Energy Networks)というテーマが位置づけられている。ここでは、電力およびガスのネットワークに関する研究、つまりスマートグリッドに関する研究が行われている。
スマートグリッド
- [Smart Grid]
- 読み方-
- 内容次世代電力網
ICT(情報通信技術)を活用した次世代電力網の形態である(一部、「次世代送電網」という表現もある)。(1)電力に関しては、従来のように、電力会社から需要家(例:一般家庭)へ一方的に流すだけでなく、需要家(家庭側・地域)が太陽電池等で発電した電力を電力会社に売る(電力会社に電力を流す)など、電力を双方向にやり取りすることが可能なこと(2)情報通信(ICT)に関しては、電力会社は、需要家の電力消費の情報をスマートメーターなどを通して収集し分析し、必要に応じて(ピーク時等に)需要家に電力消費を抑制してもらう情報などを送り、電力を安定的に供給できるように双方向通信することなどを通して、電力関連の新しい機能やサービス(料金割引等)の提供、いろいろなアプリケーション(例:見える化)等が利用できるようになる。これらによって、電力消費の効率化が実現され、さらにCO2 の削減も可能となることから、スマートグリッドは、国際的に期待されている。
スマートグリッドとセキュリティの課題
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- 読み方-
- 内容スマートグリッドにおける4つの領域のセキュリティ
スマートグリッドにおけるセキュリティの課題は、大別して主に次の4つの領域にある。
(1)双方向通信(スマートメーター)の領域
家庭のスマートメーターにおける双方向通信の領域では、盗聴防止にための機器の認証、個人データの不正アクセスからの防御、通信セキュリティ他等多くの課題がある。
(2)AMI([→]高度メーター基盤)領域
AMIを構成する次のようなの領域では、スマートメーターの脆弱性(ソフトウェアの脆弱性)への対応、スマートメーターに対するアクセス制御、スマートメーターと電力会社のサーバ(MDMS)間の送受信データの暗号化等の課題がある。スマートメーター⇔ コンセントレータ⇔ 電力会社のMDMS[→]
(3)情報通信基盤の領域
これまでの電力系の通信は閉じた通信の世界であったが、スマートグリッドではオープンなインターネットを利用して通信を行う可能性がある。このため、DDoS 攻撃(分散型サービス妨害攻撃)やなりすましなどに対処すべき課題がある。
(4)電力事業者(サービスの提供も行う)の領域
各家庭からの収集された電力検針データを、コンセントレータ[→]を経由して格納している電力会社のサーバ(MDMS[→])のアクセス管理とともに、各家庭のプライバシー情報の取り扱いについて、電力会社と取り決めを行う必要がある。
スマートグリッドと3つのネットワーク
- -
- 読み方-
- 内容日本では3つのネットワークが想定される
スマートグリッド時代において、日本では、大別して下記の(1)〜(3)に示す3つのネットワークが想定される。
日本の電力会社は電気事業法に基づいて、安全かつ安定的な電力供給が義務づけられている。このため、電力会社は、義務として、電力網とは別に、自営の設備(一部、通信事業者の設備を借用)として、通信網を保有している。スマートグリッド時代の3つのネットワークは次のとおり。
(1)スマートグリッド向け:高度メーター基盤AMI
① 広域通信網(WAN)〔コンセントレータから電力会社(MDMS:検針データ管理システム)まで〕
② 地域通信網(FAN)(スマートメーターからコンセントレータまで)
③ 宅内通信網(HAN)(屋内家電機器等からスマートメーターまで)
(2)既存の電力網向け
① 送電網
② 配電網
(3)自営通信網向け(電力保安通信)[→]
① 電力設備保守管理用通信網
② 電力系統運用用通信網
③ 力系統保護用通信網
スマートグリッド分野の標準化の重要26項目
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- 読み方スマートグリッドぶんやのひょうじゅんかのじゅうよう26こうもく
- 内容日本政府:26の技術分野の標準化等を推進
日本政府は、スマートグリッド分野を構成する要素を、家電や電力エネルギー、情報通信(ICT ) をはじめ、電気自動車(EV)、蓄電池などを含む、26の技術分野を特定して、システム連携のための「インタフェース」の標準化等を推進している。また、地域エネルギー管理システム(CEMS[→])や蓄電池等について、共通仕様を作成し、4 地域(横浜市、豊田市、けいはんな学研都市、北九州市)で導入する機器・システムへ実装する。さらに、4地域での実証実験等を通じて実データの収集を行い、標準化規格原案を作成したうえで、IEC 等の国際標準化機関への提案を予定している(出所:経済産業省、『「融合新産業」の創出に向けて』、http://www.meti.go.jp/press/2011/08/20110811002/20110811002-4.pdf)。
政府の重要26 項目(26アイテム)は、以下のとおり。
【1】送電系統広域監視制御システム
【2】系統用蓄電池最適制御
【3】配電用蓄電池の最適制御
【4】ビル・地域内の電池の最適制御
【5】蓄電池用高効率パワコン
【6】配電自動化システム
【7】分散型電源用パワコン
【8】配電用パワエレ機器
【9】デマンドレスポンスネットワーク
【10】HEMS
【11】BEMS
【12】FEMS
【13】CEMS
【14】定置用蓄電システム
【15】蓄電池モジュール
【16】車載用蓄電池の残存価値評価方法
【17】EV用急速充電器・車両間通信
【18】EV用急速充電器用コネクタ
【19】EV用急速充電器本体設計
【20】車載用リチウムイオン電池安全性試験
【21】車両・普通充電インフラ間通信
【22】インフラ側からのEV用普通充電制御
【23】メーター用広域アクセス通信
【24】メーター用近距離アクセス通信
【25】AMIシステム用ガス計量部
【26】メーター通信部と上位システムとの認証方式
スマートコミュニティ・アライアンス
- [JSCA(Japan Smart Community Alliance)]
- 読み方-
- 内容-
JSCA[→]
スマートタップ
- [Smart Tap]
- 読み方-
- 内容通信モジュールを組み込んだコンセント
通常使用されている電源タップ(コンセント)に通信モジュール(例:無線のZigBee やZ-Wave 等のモジュール)を組み込んで、電力の使用状況のデータなどを収集する機器のこと。これを利用して、スマートフォンなどの表示装置で、家庭の電力の使用状況を見える化することもできる。
スマートチャージング
- [Smart Charging]
- 読み方-
- 内容最適な時間帯での電気自動車への充電
電力需要や電力料金などを動的に判断し、最適な時間帯に電気自動車への充電を実現する仕組みのこと。
スマートハウス
- [Smart House]
- 読み方-
- 内容ICTで家電機器等を統合的に制御できる住宅のこと
ICT(情報通信技術)を活用し、
(1)家電機器や住宅設備機器
(2)太陽電池(太陽光発電)や蓄電池(電気自動車を含む)などのエネルギー機器
(3)電気・ガス・水道などのメーター系機器
などを、有線や無線のネットワークで接続し、住宅を取り巻くあらゆる家庭の機器を統合的に制御できるようにした住宅のこと。スマートハウスでは、「省エネ」(エネルギー消費の削減)、「創エネ」(再生可能エネルギーなどによるエネルギー生成)、「蓄エネ」(蓄電池や電気自動車のバッテリーなどを利用したエネルギー貯蔵)が期待されている。スマートハウスの中核装置として、「HEMS」(Home Energy Management System、宅内エネルギー管理システム[→])が注目されている。
スマートハウスの外部インタフェース
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- 読み方スマートハウスのがいぶインタフェース
- 内容-
スマートハウスの外部インタフェースとしては、次に示す3つのインタフェースが考えられる。
(1)既存エネルギーである電気・ガス・水道の各種メーター(スマートメーター)とAMI(検針通信基盤)とのインタフェース。
(2)再生可能エネルギーの太陽光発電や蓄電池、エコキュート、電気自動車など屋外設備とのインタフェース。 (3)家庭のパソコンでインターネットアクセスするなどの広域的な通信インフラとのインタフェース。
スマートハウスの内部インタフェース
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- 読み方スマートハウスのないぶインタフェース
- 内容-
スマートハイスの内部インタフェースとしては、(1)パソコンやゲーム機などのIP 端末とのインタフェースとともに、(2)各種センサーデバイスや住宅設備機器などの非IP端末を収容できるインタフェースが求められる。そのため、ホームゲートウェイ(HGW:Home Gateway)の配下に、これらの端末を接続させるサービスゲートウェイ(SGW:Service Gateway)が設置される(HEMS の中核機能)。そのサービスゲートウェイには、これらのさまざまな端末(IP 端末や非IP 端末)を収容できるインタフェース(ZigBee、Z-Wave、PLC、各種センサーデバイス、設備機器などとのインタフェース)が装備される。これによって、サービスゲートウェイに収集された、さまざまな端末からのデータは、ホームゲートウェイでプロトコル変換され、IP化され、外部のインターネットと通信できるようになる。
スマート分電盤
- [Smart Distribution Board]
- 読み方スマートぶんでんばん
- 内容利用目的に応じて配電系統に分けて給電する装置(通信機能付き)
家庭において電力会社との境界領域に設置されるスマート分電盤は、電力会社からの交流電力を各種の利用目的に応じた配線系統に分けて(家庭では例えばリビング用、台所用など)給電する装置で、それぞれの給電電力の上限値を多数のブレーカーによって管理している。スマート分電盤は、これに多様なセンサーや通信機能を付加し、電力消費量をリアルタイムで計測し、中央制御サーバへ送信する機能をもつ。
スマートメーター
- [Smart Meter]
- 読み方-
- 内容双方向通信機能と情報処理能力を備えた電子式メーター
一般的には、双方向通信機能と高度な情報処理機能を備えた電子式(デジタル式)エネルギーメーターのこと。
一定の通信能力、高度な暗号化/セキュリティ機能などのほか、場合によっては需要家の宅内へのアクセス機能をもっている。スマートメーターには電力、ガス、水道の各エネルギーメーターがある。本書では電力量メーターを代表的に扱っている。日本では、スマートメーターのことは「新型電子式メーター」と呼ばれる。
現在、日本国内には電力メーターが約8,000万個(機械式含む)設置されているが、2011 年3 月11 日の震災以降、電力の供給力が急速にひっ迫し、これに対応するため、スマートメーターに対する期待が高まっている。そこで、政府は方針を前倒しして、今後5 年以内に、総需要(件数ではなく)の80%をスマートメーター化していくことが決定された(2011 年7 月29 日のエネルギー・環境会議、http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20110729/siryo1_1.pdf)。
スマートメーターの規格
- [Smart Meter Standard]
- 読み方スマートメーターのきかく
- 内容IECタイプ/ANSIタイプ
スマートメーターの規格は、2つのタイプに大別されている。(1)IEC タイプ(四角型):EU(欧州連合)諸国を中心とした世界の約8割の国で利用されているIEC タイプ(IEC 規格準拠)。(2)ANSI タイプ(丸型):北米を中心に、台湾、タイ、フィリピンなどの一部でも利用されているANSI タイプ(ANSI規格準拠)。この2つのタイプは、基本機能と基本性能はほぼ同じであるが、構造的には大きく異なる。日本のスマートメーター(新型電子式メーター)に関する規格は、最終的には計量法に基づくJIS規格に従うことになる。2011年12月から、政府は、欧米との規格に互換性をもたせることを基本に、各関連業界(家電・住宅・自動車・電力・ガス等)とスマートメーターの統一規格の策定の検討を開始している。また、スマートメーターと最も関連性のあるHEMSについても、統一規格の策定に取り組んでおり、すでに推奨インタフェース規格として「ECHONET Lite」が決定された。なお、日本の新型電子式メーター(スマートメーター)の主なメーカーとしては、エネゲート、大崎電気工業、東光東芝メーターシステムズ、GE富士電機メーター、三菱電機などがある。
(注)ANSI:American National Standards Institute、米国規格協会
スマートメーターの機能
- [Functions of Smart Meter]
- 読み方スマートメーターのきのう
- 内容-
双方向通信機能をもつスマートメーターには、次のような機能がある。
(1)家庭など需要家の電力使用状況の検針(電力会社と家庭のスマートメーター間の通信)
(2)デマンドレスポンス(電力需要の制御)や「不適切な電力使用」の抑制
(3)電気の遠隔からのON/OFF(入り/切り)
(4)家庭内の空調機器、照明機器やテレビ等の家電機器との通信
(5)時間帯別の電気料金に対応する処理
(6)需要家(家庭)と電力会社が使うデータの処理
(7)供給される電力品質の監視
(8)電気の不正利用あるいは盗電の検出
など
スマートメーターの定義
- [Smart Meter Definition]
- 読み方スマートメーターのていぎ
- 内容-
経済産業省主催の「スマートメーター制度検討会」(第1 回:2010年5月)で配布された資料での定義では、スマートメーターとは狭義の概念と広義の概念がある。(1)狭義の概念:「電力会社等の計量関係業務等に必要な双方向通信機能や遠隔開閉機能などを有したメーター」と定義(2)広義の概念:「狭義の概念に加えてエネルギー消費量などの「見える化」や「ホームエネルギーマネジメント機能も有したもの」と定義
通常、このように厳密には区別されて使用されていない。
スマートメーターの満たすべき要件(日本)
- [Requirements of Smart Meter]
- 読み方スマートメーターのみたすべきようけん
- 内容-
日本で導入を進める場合、現状でスマートメーターが満たすべき要件は、次の4 つの項目とされた〔「スマートメーター制度検討会 報告書」、2011年(平成23年2 月)〕。
スマートメーターが満たすべき要件は次のとおり。
(1)機能:遠隔検針(インターバル検針)、遠隔開閉
(2)情報:取り扱う情報は電力使用量、逆潮流値、時刻情報の3つ。電力使用量については30分ごとに測定。(ガスの場合は使用量と時刻情報の2つで、1 時間ごとに測定)
(3)情報の提供先:需要家(一般家庭等)および電力会社の双方への電力等使用情報を提供
(4)情報提供のタイミング:現時点においては原則翌日まで。すなわち、家庭の電力使用量などの情報は、前日の情報が提供される(リアルタイムではない)。
これまでの月1回程度の頻度に比べ、比較的短い間隔で検針を行う機能(注1)インターバル検針:これまでの月1回程度の頻度(例:検針員が需要家を訪問して検針すること等)に比べ、比較的短い間隔で検針を行う機能。(注2)遠隔開閉:スマートメーターの双方向通信機能を利用して、メーターに内蔵された開閉器を遠隔で操作(ON/DFF)できる機能。(注3)逆潮流値:一般家庭の太陽光発電システムなどの発電設備から、電力会社の電力系統(電力網)に電気を流す(売電する)割合の数値。