SAF成分の⼀貫製造に成功、三菱重工が実証

SOEC共電解とFT合成を連携し製造コスト低減

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年2月16日 (月曜) 10:56

液体合成燃料の⼀貫製造に成功

 三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)は、二酸化炭素(CO2)と水から持続可能な航空燃料(SAF)注1などの原料を一括して作る一貫製造実証を同社総合研究所長崎地区で実施した。高温で電気分解する「SOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell:高温水蒸気電解)共電解注2」と、液体合成燃料を製造する「FT(Fischer-Tropsch)合成注3」を組み合わせた。プロセスを簡素化することで製造コストを低減し、2030年ごろの商用化を目指す。2026年2月13日に発表した。

図1 液体合成燃料の一貫実証試験装置

出所 三菱重工業株式会社 ニュースリリース 2026年2月13日、「SOEC共電解とFT合成装置を活用した一気通貫プロセスでの液体合成燃料製造の実証に成功」

SOEC共電解とFT合成装置を連携

 SOEC共電解は、固体酸化物を電解質に用いて二酸化炭素と水蒸気を同時に分解する技術。三菱重工の実証では、独自の装置「円筒形セルスタック注4」を活用し、SOEC共電解を実行。同工程で生成した水素と一酸化炭素をFT合成装置で化学反応させ、液体合成燃料の製造に成功した。同燃料を分析した結果、SAFに適した成分が得られることを確認したという。

 今後、同社は、SOEC共電解と既存のFT合成プロセスを組み合わせたSAF製造装置の提供に向けて開発を進め、2030年ごろの商用化を目指す(図2)。

図2 三菱重工によるSOEC共電解を活用した合成燃料製造技術の開発ロードマップ

出所 三菱重工業株式会社 ニュースリリース 2026年2月13日、「SOEC共電解とFT合成装置を活用した一気通貫プロセスでの液体合成燃料製造の実証に成功」

 三菱重工によると、国際民間航空機関(ICAO)は、国際航空分野でCO2排出量を2050年までにネットゼロとする⽬標を掲げている。その達成には、SAFなどの低炭素燃料の活用が欠かせず、世界的にSAFの需要が⼤きく拡大する⾒通しである。

 また、SOEC共電解で生成される水素と一酸化炭素は、SAFのほか、自動車や船舶向けのカーボンニュートラル合成燃料(ガソリン、ディーゼル、メタノール、メタン)、都市ガス(メタン)の原料として活用できる。


注1:SAF(持続可能な航空燃料):廃食油やCO2などを原料とする航空燃料。従来の化石燃料に比べ、ライフサイクル全体のCO2排出量を大幅に削減できる。
注2:SOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell:高温水蒸気電解)共電解:高温で水蒸気とCO2を同時に電気分解する技術。高いエネルギー効率で、合成燃料の原料となる「合成ガス」を一括製造できる。
注3:FT(Fischer-Tropsch)合成:一酸化炭素と水素を化学反応させ、液体燃料(炭化水素)を合成する工程。
注4:円筒形セルスタック:三菱重工独自のセラミック製構造体。熱ストレスに強い円筒形状を採用し、高い耐久性と効率的な電気分解を実現する装置の基幹部品。

参考サイト

三菱重工業株式会社 ニュースリリース 2026年2月13日、「SOEC共電解とFT合成装置を活用した一気通貫プロセスでの液体合成燃料製造の実証に成功」

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