系統蓄電所のサイバーセキュリティ強化、パナソニックらが実証

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年2月26日 (木曜) 16:28

系統蓄電所を対象とした世界初の実証

 パナソニック ホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)とパナソニック ソリューションテクノロジー株式会社(以下、PSTC)は、伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠商事)と連携し、国内系統蓄電所注1での運用を想定したサイバーセキュリティ監視の実証実験を開始する(図1)。系統蓄電所での実運用を想定した実証は、世界初だという。通信や挙動を監視し、異常の早期検知や状況把握の有効性を検証する。2026年2月16日に発表した。

図1 実証実験の概要 

出所 パナソニック ホールディングス株式会社 プレスリリース 2026年2月16日、「系統蓄電所において、世界初となるサイバーセキュリティ監視ソリューションの有効性検証に向けた実証実験を開始」

既知の攻撃を検知するとともに電力制御通信の挙動を分析

 太陽光発電所では、外部からの不正侵入や運用障害につながる事象が報告されており、対策の重要性が広く認識されるようになっているが、従来のファイアウォールによる境界防御型注2の対策は、内部ネットワークへの侵入や、正規端末を装った巧妙な攻撃への対応が難しいケースが増えている。そのため、通信や制御の挙動を継続的に監視する多層的な防御策が重要になっている。

 今回の実証で対象とする系統蓄電所は太陽光発電所と比較し、充放電制御や出力調整などの制御可能な機能が多い。サイバー攻撃によって悪用された場合、電力需給バランスの混乱や配電系統への悪影響など、社会インフラにも影響を及ぼす可能性がある。

 実証では、パナソニックHDとPSTCが開発した、独自のサイバーセキュリティ監視ソリューションを使用する。同ソリューションは、既知の攻撃パターンを照合する「シグネチャー検知注3」と、電力制御通信特有の挙動を分析する「電力制御通信特化型攻撃検知」から成る。

 通常の監視のみでは、実証期間中に十分な検知機会を確保することが難しいため、能動的な疑似攻撃実験を実施する。実験は、施設内部のネットワークに直接接続してデバイス接続や制御パラメータの改ざんを行う「オンサイト実験」と、外部からの不正アクセスを想定した「オフサイト実験」の二段階で構成する。これらの実験を通じて、検知性能を評価するのに加え、商用環境における導入・運用面での課題や留意点を整理する。

 パナソニックHD、PSTC、伊藤忠商事の3社は、実証で得た知見を基に、系統蓄電所をはじめとする社会インフラ分野のセキュリティ対策をさらに強化する。成果については業界ガイドラインや各種基準への対応にも活用する。


注1:系統蓄電所:電力系統に直接接続し、再生可能エネルギーの出力変動緩和や需給調整を行うための大規模な蓄電池施設。 
注2:境界防御型:ネットワークの内外の境界にファイアウォールなどの壁を設け、外部からの不正侵入を防ぐ従来のセキュリティ手法。 
注3:シグネチャー検知:過去に発見されたサイバー攻撃の特徴(シグネチャー)をデータベース化し、合致する通信を検知・遮断する手法。

参考サイト

パナソニック ホールディングス株式会社 プレスリリース 2026年2月16日、「系統蓄電所において、世界初となるサイバーセキュリティ監視ソリューションの有効性検証に向けた実証実験を開始」

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