「24/7カーボンフリー電力」の実証実験、バイオマス発電を用いたHourly Matchingの結果公表は国内初!
2026年2月27日 (金曜) 11:42
NTTアノードエナジーなど3社による実証実験
24時間7日、つまり365日をカーボンフリーエネルギーで賄う「24/7カーボンフリー電力(24/7 CFP)注1」への取り組みが世界的に始まっている。日本でもNTTアノードエナジー株式会社(以下、アノードエナジー)、株式会社JERA Cross(以下、JERA)、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)の3社によって実証実験が行われ、その結果が発表された。
実証実験は、2024年12月から2025年9月にかけてドコモの通信ビル3拠点(青森、秋田、仙台)を対象に行われた。その3拠点に、再生可能エネルギー(以下、再エネ)供給が主のアノードエナジーが追加性注2のある非FIT太陽光発電注3とバイオマス発電を組み合わせて電力を供給、脱炭素電力取引プラットフォームを扱うJERAが需給データを1時間ごとに追跡・照合した。
実証実験にあたって、電力消費と再エネ供給を1時間単位で一致させる「Hourly Matching」の実現を確認している。なお、国内でバイオマス発電を用いたHourly Matchingの実証結果が公表されたのは、今回が初めてである。
図1 実証実験の全体イメージ
全時間帯で需要の「100%マッチング」も確認
今回の実証実験では、発電量が変動する太陽光発電と安定的なバイオマス発電を組み合わせることで、月次/時間別ともに高精度に安定してマッチングできることが確認された(図2、図3)。特に2025年6月には、対象期間中の全時間帯で企業の電力需要の100%を再エネで賄う「Hourly Matching率100%」も達成している(図4)。
一方で課題も見つかっている。バイオマス発電設備の定期点検や突発的な停止の期間には他の電源による補填が必要となるため、マッチング率が低下するケースがあった。その対策のために、蓄電池やバックアップ用の追加電源を確保する必要がある。
図2 実証実験における月次マッチング結果
出所 NTTアノードエナジー株式会社、株式会社JERA Cross、株式会社NTTドコモ トピックス 2026年2月12日「24/7(twenty - four seven)カーボンフリー電力供給に向けたHourly Matching の実証実験を完了」をもとに一部に日本語化して作成
図3 実証実験における時間別マッチング結果(平均)
出所 NTTアノードエナジー株式会社、株式会社JERA Cross、株式会社NTTドコモ トピックス 2026年2月12日「24/7(twenty - four seven)カーボンフリー電力供給に向けたHourly Matching の実証実験を完了」をもとに一部に日本語化して作成
図4 全時間帯で100%マッチングを達成した2025年6月の結果
出所 NTTアノードエナジー株式会社、株式会社JERA Cross、株式会社NTTドコモ トピックス 2026年2月12日「24/7(twenty - four seven)カーボンフリー電力供給に向けたHourly Matching の実証実験を完了」をもとに一部に日本語化して作成
Hourly Matchingは「スコープ2」導入も検討中
これまでの再エネ導入の評価は、年間で使った分と同じ量の再エネをどこかで発電する〔すなわち実時間(リアルタイム)ではなく年間を通して再エネを発電する〕「年間ネットゼロ」の考えが主流だった。これに対して国際的に、より厳格な「実時間(リアルタイム)の需給一致」を求める気運が高まり、24/7 CFPが提唱された。
その状況を可視化する手法としてHourly Matchingが開発され、国際基準(Energy Tag Standard)も制定された。今回の実証実験はその国際基準に準拠して行われている。
さらにHourly Matchingは、GHGプロトコル「Scope 2(購入電力等に伴う排出)」(GHG:Greenhouse Gas、温室効果ガス)ヘの導入も検討されている。GHGプロトコルは、GHGプロトコルイニシアチブ(1998年設立)が策定した、温室効果ガスの排出量の算定や報告に関する国際基準で、算定をより厳格化するための新たな手法1つとしてHourly Matchingが取り上げられた。現在、導入に向けた公開意見募集が行われている。
注1:24/7カーボンフリー電力(24/7 CFP):24/7 CFP: Twenty-Four Seven Carbon Free Power、1週間24時間(すなわち365日間年中無休で再エネなどの脱炭素電力を供給すること。国連などが推進している「24/7 Carbon-Free Energy(24/7 CFE)」に基づいた概念。「CFP」のPはPower(電力)。
注2:追加性:電力需要家が再エネを調達する際、その施策が新たな再エネ発電所の建設などを促進する効果があること。
注3:非FIT太陽光発電: FIT(Feed-in Tariff、固定価格買取制度)を利用せず、市場価格や相対契約による太陽光発電を指す。



