2016年3月30日、経済産業省(以下:経産省)は、交通事故の削減や渋滞緩和、環境負荷低減等の課題解決が期待される協調ITS※の実現普及に必要とされる地図データベースの整備や維持・更新のコスト削減に役立つ日本発の国際規格が制定されたことを発表した。
都市を中心に世界の人口が増加し、自動車のさらなる普及拡大が想定される上、高齢化が進み、交通事故の削減や渋滞緩和、環境負荷低減等への対応が急務となっている。
同規格によって、日本の基幹産業である自動車産業においても、新たな取組である協調ITSと連携する自動走行への期待は大きく、関連する市場の拡大も見込まれている。
◆協調ITSにおける地図データベース仕様の拡張:
協調型 ITS のサービス提供を行うための基盤技術として、道路や建物などの静的な地物を載せた地図データ上に自車現在地周辺の他の移動体や事故情報といった時々刻々と変化する動的な情報を重ね合わせることで高度化された地図情報(ローカルダイナミックマップ)についてでも研究開発されている。(図参照)
図 ローカルダイナミックマップ概念図
2016年2月に発行された国際規格ISO 14296(協調ITSにおける地図データベース仕様の拡張)は、上記のローカルダイナミックマップの静的情報に関する国際標準化を日本が提案し、欧米の標準化機関であるCEN、ETSI、SAE等とも連携して進めてきており、機能要求にデータモデル、データエレメントについて規定している。
◆制定による期待効果:
内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)において、2020年東京オリンピック・パラリンピックをマイルストーンとして自動走行の実現普及が検討されている。
自動走行用地図の整備や維持・更新には莫大なコストを要するため、効率化の観点から効果的な協調が期待されている。同規格は道路ネットワークを主体とした地図データベース仕様ですが、2018 年頃までに自動走行用地図を活用する車両が市場投入される可能性があり、当規格と連携した議論の加速化が期待されている。
※ 協調ITS:協調ITS(高度道路交通システム)は、路車間通信、車車間通信(車-インフラ-車間通信を含む)、通信方式やデータ形式などの整合を図り、両システムが連携、補完することで、様々なITS サービスアプリケーションを実現するもの。
■リンク
経産省