ソフトバンクグループは2017年4月11日、同社の100%子会社であるSB Energy Holdings社がインドに大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設し、運転を始めたと発表した。インド政府が2009年に掲げた太陽光発電設備の導入を促進する計画「Jawaharlal Nehru National Solar Mission(ジャワハルラル・ネルー・ナショナル・ソーラー・ミッション:JNNSM)」によって初めて稼働する超大規模太陽光発電所だ。
発電所の所在地は、インド南東部の海岸沿いに位置するアーンドラプラデーシュ州のカルヌール地方。最大出力はおよそ350MW(35万kW)。世界で7番目に大きな太陽光発電所になるという。発電した電力は1kWh当たり4.63ルピー(およそ8.7円)でインド最大の電力会社であるNTPC社が25年間に渡って買い取る。
図 SB Energy Holdings社がインドのアーンドラプラデーシュ州に建設したメガソーラーの航空写真
出所 ソフトバンクグループ
この売電価格は、発電所建設の権利を得る際にSB Energy Holdings社が提示した価格だ。JNNSMでは、太陽光発電所建設を希望する業者が売電価格を入札し、最も安い価格を提示した業者が建設する権利を落札し、その価格で電力事業者が固定価格買取の契約を結ぶという制度を採用している。今回の発電所は、売電契約締結時の予定よりも51日早く運転を始めることができたという。
今後、この発電所を運営するSB Energy Holdings社は現在のところソフトバンクグループの100%子会社だが、台湾Foxconn Technology Group(鴻海科技集団)と、インドBharti Enterprises社が参加し3社の合弁会社となる。独占禁止法に関わる規制当局から承認が出たところで合弁の手続きを取るとしている。ちなみに、ソフトバンク、鴻海、Bharti Enterprises社は2015年6月に、3社合弁で再生可能エネルギー開発と普及を目的に「SBG Cleantech社」をインドに設立している。
インドは著しい勢いで経済的に成長を続けているが、それに社会基盤(インフラ)の整備が追いついていない。特に電力環境の整備は喫緊の課題となっている。膨大な人口を抱えているが、送電網が行き届いていない未電化地域も数多くある。送電網が届いている地域でも、発電所の発電量不足で停電がたびたび起こるような状況だ。
その状況を打開するためにインド政府が打ち出した計画がJNNSMだ。赤道に近い南インドなど、年間を通してかなりの日射量を期待できるインドの地理的、気候的条件を活かした作戦と言えるだろう。計画を発表した2009年時点では、2022年までに太陽光を利用した発電設備を出力合計で20GW(2000万kW)導入するという目標を打ち立てた。そして、2015年にはその目標を「2022年までに100GW(1億kW)」と上方修正している。SB Energy Holdings社は今後もインドで出力合計20GWを目標に、再生可能エネルギーを活用した発電所を建設することを目指すとしている。