NTTドコモは2017年2月23日、機器に内蔵したSIMカードに遠隔で電話番号などの「加入者情報」を書き込む「eSIMプラットフォーム」を開発したと発表した。2016年10月にGSMAが規格化した「Remote SIM Provisioning Version 2.0」の仕様に準拠したシステムだ。
現在、一般に流通しているSIMカードは電話番号などの加入者情報を書き込みずみとなっている。利用者はSIMカードを購入して、自身が所有する機器に新しいSIMカードを挿入して通信機能を使い始めるようになっている。
一方でNTTドコモは、2014年6月から業務機器向け通信サービス「docomoM2Mプラットフォーム」の顧客に、遠隔で加入者情報を書き込めるSIMカードを提供している。ただし、今回開発したeSIMプラットフォームはコンシューマー機器に向けて、簡単な操作で書き込みを可能にした点が、docomoM2Mプラットフォーム向けのサービスとは異なるとしている。
docomoM2Mプラットフォーム向けの遠隔書き込みが可能なSIMを利用する場合、企業の担当者が遠隔書き込みの機能を提供するサーバーにアクセスして、SIMを特定して書き込みを依頼することで、サーバーが遠隔操作でSIMに加入者情報を書き込んでいた。
一方、今回NTTドコモが開発したeSIMプラットフォームでは、SIMカードを内蔵した製品を手に取った消費者が、使用前に簡単な操作をするだけで、サーバーに加入者情報の書き込みを要求する信号が届き、受けたサーバーは発信元の機器のSIMカードに加入者情報を書き込む。NTTドコモは、eSIMプラットフォームの利用範囲として、タブレットやウェアラブル機器などのコンシューマー製品を想定している。
図 一般的なSIMカードは、加入者情報を書き込んだ状態で流通し、入手した利用者は機器に挿し込んで利用するが(上)、eSIMプラットフォームを利用するとSIMを内蔵したまま機器を販売し、購入者が簡単な操作をすることで加入者情報を書き込ませて、通信機能を使い始めるということが可能になる
出所 NTTドコモ
今回のeSIMプラットフォームを利用すると、機器メーカーは機器に加入者情報書き込み前のSIMを内蔵した状態で出荷し、販売することが可能になる。購入者が利用前に簡単な操作で加入者情報を書き込ませることで、通信機能がすぐに利用可能になる。タブレットやウェアラブル機器だけでなく、これから普及が見込めるコミュニケーションロボットなどへの応用も十分可能だろう。
NTTドコモは今回開発したeSIMプラットフォームに対応する端末を2017年中に発売することを予定している。
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