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トヨタ自動車とマツダが業務資本提携、電気自動車を共同で開発へ

2017/08/07
(月)
SmartGridニューズレター編集部

トヨタ自動車とマツダは、業務資本提携を結ぶと発表した。

トヨタ自動車とマツダは2017年8月4日、業務資本提携を結ぶと発表した。トヨタ自動車はマツダが第三者割当で新規に発行する株式を総額500億円で取得し、マツダもトヨタ自動車が自社で保有する株式を500億円で取得する。両社は2015年5月から、協力に向けて協議を続けてきた。その協議の結果、5分野で協業することに同意した。さらに、株式を持ち合って、関係をより密接にして協業を進める。

図 業務資本提携を発表するトヨタ自動車の豊田章男社長(左)と、マツダの小飼雅道社長

図 業務資本提携を発表するトヨタ自動車の豊田章男社長(左)と、マツダの小飼雅道社長

出所 トヨタ自動車

今回の提携で両社は「米国での完成車の生産合弁会社設立」「電気自動車の共同技術開発」「自動車向けのインターネット接続技術の共同開発」「先進安全分野における技術連携」「商品補完の拡充」の5分野で協業を進める。注目すべきは「電気自動車の共同技術開発」だ。

トヨタ自動車もマツダも、電気自動車(EV)の分野では他社に大きく遅れを取っている。トヨタ自動車は2012年にTesla Motors(現:Tesla)と共同開発したEV「RAV4 EV」をアメリカ・カリフォルニア州で発売したが、それに続くEVは発売していない。Tesla Motorsとの協業関係も破棄した。マツダは中型車「デミオ」を基にしたEV「デミオEV」を2012年に発表したが、地方自治体や企業に向けてリース契約で100台ほど提供しただけで、以降は新たなEVを発売していない。

一方、アメリカGeneral Motorsは2016年12月に「Chevrolet Bolt EV」を、Teslaは2017年7月に「Model 3」を発売している。どちらも400万円程度の普及価格帯で発売する車種で、満充電状態から350kmほどの走行が可能になっている。日産自動車は「LEAF」の次世代車を2017年度中に発売することを明かしている。

さらに、スウェーデンVolvo Car社は、2019年以降に同社が発売する車種はすべてモーターを搭載したものになると発表している。ドイツAudiは同社としては初めてのEV「Audi e-tron」の生産を2018年から開始するほか、2019年には「Audi e-tron Sportback concept」の生産を開始することを明らかにしている。ほかにもVolkswagenやBMW、Mercedes Benzなどが、EVを数年中に発売する計画を立てているなど、世界の自動車メーカーはEV開発に注力している。

この背景には、ヨーロッパやアメリカで厳しくなっている自動車の排ガス規制や、中国が進めているEV導入を促進する政策などがある。最も厳しい規制を敷いているアメリカ・カリフォルニア州では、自動車メーカーに排ガスを発生させない「ゼロエミッション車」の販売台数を一定の比率以上とすることを求めている。2018年にはこの比率を4.5%以上とする予定だ。

トヨタ自動車は燃料電池車(FCV)こそ「次世代のエコカーの本命」と位置付け、開発を続けているが、FCVの運用に欠かせない水素ステーションの整備は進んでいるとは言い難い。トヨタ自動車のFCV「MIRAI」の出荷台数も伸び悩んでいる。

その間にEVに充電する充電器は各国で普及し、各国の規制も後押ししてEVが販売台数を伸ばしている。トヨタ自動車もマツダも、成長しつつあるEV市場に乗り遅れつつある状態だ。劣勢を挽回するには、一刻も早く、長い距離を走行できるEVを普及価格帯で売り出す必要がある。今後、両社がどれくらいのスピードでEVを開発し、発売にこぎつけるか注目したい。


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