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世界初の商用浮体式洋上風力発電所がスコットランドで運転開始、2万世帯に電力を届ける

2017/10/20
(金)
SmartGridニューズレター編集部

ノルウェーStatoil社は、世界初の商用浮体式洋上風力発電所「Hywind Scotland Floating Wind Farm」が完成し、運転を始めたと発表した。

ノルウェーStatoil社は2017年10月18日(ノルウェー時間)、世界初の商用浮体式洋上風力発電所「Hywind Scotland Floating Wind Farm」が完成し、運転を始めたと発表した。場所は、スコットランド北東部にあるアバディーンシャー州の北海沿岸。ピーターヘッドという町から25km沖に進んだところだ。7月19日には1基目の発電設備が完了したことをTwitterアカウントで発表していた(関連記事)。

図 「Hywind Scotland Floating Wind Farm」の全景

図 「Hywind Scotland Floating Wind Farm」の全景

出所 Statoil社

Hywind Scotland Floating Wind Farmでは、ドイツSiemens製の出力6MW(6000kw)の風力発電設備を5基使用する。合計出力は30MW(3万kW)。Statoil社は年間発電量について、イギリスの一般世帯の年間電力消費量にして約2万世帯分に相当すると見ている。World Energy Council(世界エネルギー会議)の2014年の調査によると、イギリスにおける1世帯あたりの年間電力消費量は平均で3941kWh。この数字をそのまま当てはめると、年間でおよそ78.82GWh(7882万kWh)を発電するということになる。設備利用率を計算するとだいたい30%程度になる。

発電所の面積はおよそ4km2で、この海域の水深はだいたい95〜129mだという。風力発電設備は、「浮き」となる筒型のアンカーで支え、全体を浮き上がらせる。位置が大きく動かないように、アンカーはワイヤーで海底に固定する。今回開発したこの仕組みを利用すれば、最大で水深800mの場所に浮体式洋上風力発電設備を設置できるという。

図 発電設備は円筒形の「浮き」で浮き上がらせ、海底にワイヤーで固定する

図 発電設備は円筒形の「浮き」で浮き上がらせ、海底にワイヤーで固定する

出所 Statoil社

発電した電力を届ける海底ケーブルの長さはおよそ30km。発電所からピーターヘッドの町まで電力を届ける。そして、ケーブルを陸揚げする地点には、アラブ首長国連邦・アブダビに拠点を置く再生可能エネルギー開発企業Masdar社が設置した蓄電容量1MWh(1000kWh)の大規模リチウムイオン蓄電池「Batwind」がある。発電した電力をこの蓄電池に充電することで、発電電力量の変動を吸収し、常に安定した量の電力を電力系統に供給する。

Statoil社の上級副社長で、新エネルギーを担当しているIrene Rummelhoff氏は「世界の海上風力資源の80%は水深60m以上の場所にあり、そのような場所には既存の着床式の工法では発電設備を建設できない。水深が深い場所にも建設できる浮体式洋上風力発電設備が、今後の洋上風力発電業界の成長を支える役割を果たすだろう」と、今後の浮体式洋上風力発電設備の普及に期待を見せた。


■リンク
Statoil社
Masdar社

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