DHL Supply Chainは2017年11月29日(ドイツ時間)、Teslaの電動トレーラー「Tesla Semi」を10台発注したと発表した。Tesla Semiは11月16日にTeslaが発表したもので、2019年からの製造と販売を予定している車両だ。DHL Supply ChainはDeutsche Post DHL Groupの一部門であり、企業の物流業務代行事業を担当している。
図 Teslaの電動トレーラー「Tesla Semi」
出所 Tesla
Tesla Semiは大出力のモーターを4つ搭載し、加速性能、登坂性能などの面でディーゼルエンジンのトレーラーよりも優れた性能を発揮するほか、エネルギーにかかるコストをディーゼルエンジンのトレーラーに比べて半分に削減でき、メンテナンスの回数も大幅に減らせるという車両だ。現在、予約を受け付けており、300マイル(約483km)走行できるだけの蓄電池を搭載した車両の価格が15万ドルから(1680万円:1ドル=112円で換算)、400マイル(約805km)走行できる車両の価格が18万ドルから(2016万円)となっている。
DHL Supply ChainはTesla Semiをアメリカでの業務に試験的に導入し、長距離走行時のエネルギー効率を検証するとしている。また、Tesla Semiに乗務する運転手が快適に業務に取り組めるか、Tesla Semiでの業務に満足感を感じられるかといったことも検証する。
Tesla Semiは運転スペースに人間が立ち上がれるほど広い空間を確保したり、運転席を中央に配置し、前方だけでなく側方も見渡せる広い視界を確保するなど、快適に運転できる環境と、「ジャックナイフ事故(減速した時に、牽引している荷台だけが慣性で前方に出てしまい転倒する事故)」を自動的に防ぐ機構など、安全運転を支援する機能を登載している。DHL Supply Chainは、このような設備と機能を運転手がどう評価するのかを調査するということになる。
DHL Supply Chainの調べでは、物流業における人材不足が進行しつつある。2015年には運転手がおよそ4万8000人不足していたが、この事態は急速に進行し、2020年には10万人不足する可能性があるという。今回の試験運用は、トレーラーの運転手が快適に働くことができ、満足して業務に取り組める環境を整備して、人材を確保することを狙ったものと考えられる。
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DHL Supply Chain