アメリカの物流大手United Parcel Service(UPS)は2017年12月9日(アメリカ東部時間)、Teslaの電動トレーラー「Tesla Semi」を125台発注したと発表した。12月7日にはビール製造大手のAnheuser-Buschが40台を発注した(参考記事)ほか、小売大手のWalmartや物流大手のJ.B. Hunt Transport Servicesなどの企業が続々とTesla Semiを発注している。公式発表はまだないが、清涼飲料水大手のPepsiCoが100台発注したという報道も流れている。今回のUPSからの発注は受注開始以来最大のものになると考えられる。Teslaは2019年からTesla Semiの製造販売を開始する予定。
図 Teslaの電動トレーラー「Tesla Semi」
出所 Tesla
UPSは環境保護に向けて積極的に取り組んでおり、温室効果ガス排出量を2025年までに2015年比で12%削減するという目標や、2025年までに物流車両で消費する燃料のうち40%をガソリンやディーゼル燃料から天然ガスなどに転換するといった目標を掲げて着実に実行に移している(参考記事)。
その活動の一環として、2017年5月にはカリフォルニア州サクラメントで配送車として燃料電池車(EV)の運用を開始し(参考記事)、11月にはニューヨークを走る配送車両を独自開発の改造キットを使用して、ディーゼルエンジン車から電気自動車(EV)に転換することを発表している(参考記事)。
UPSのChief Information and Engineering officerを務めるJuan Perez氏は「UPSは過去1世紀以上に渡って、より効率が良い物流車両を同業他社に先駆けて導入してきた。Tesla Semiは、より安全で、環境への影響が少なく、総所有コストを下げてくれる画期的な車両だ。Tesla Semiの導入によって、UPSの物流車両の効率はさらに優れたものになるだろう」と、納車を期待するコメントを残している。
Teslaは発表以来、さまざまな企業からTesla Semiの発注を受けている。Tesla Semiが多くの企業から期待を受けているということだろう。当初の発表通りに2019年に製造販売を開始できれば、その期待にしっかり応えることになるだろう。しかし現在Teslaは、普及価格帯のEV「Model 3」の生産がなかなか進まず、予約した消費者を何年も待たせるという事態に陥っている。Model 3発表後、Teslaの予想をはるかに上回る数の注文が殺到したため、後追いであわてて生産体制を整えているところだ。Tesla Semiは、予定通り着実に生産、納車が進むと期待したい。