TeslaのCEOであるElon Musk氏は2017年10月7日、自身のTwitterアカウントへの投稿で、Teslaが開発中の電動トレーラーヘッドの発表日が11月16日になるという見通しを示した。Teslaの電動トレーラーヘッドについては、完成段階に近いという報道が流れ、多くのメディアが2017年10月中に発表すると予測していた。
図 Teslaが公開している電動トレーラーヘッドのイメージ画像
出所 Tesla
Musk氏はTwitterアカウントへの投稿で、緊急に対処しなければならない問題が2つあり、そのために企業としての労力や費用を割く必要があるため、電動トレーラーヘッドの発表が遅れる見通しだと明かしている。
図 Elon Musk氏によるTwitterへの投稿
Tesla Semi unveil now Nov 16. Diverting resources to fix Model 3 bottlenecks & increase battery production for Puerto Rico & other affected areas.
— Elon Musk (@elonmusk) October 6, 2017
出所 Elon Musk氏
緊急に対処しなければならない問題のうちの1つは、ハリケーン“Maria”の直撃を受けたプエルトリコへの支援だ。Musk氏は、Mariaによって電力網が途切れ、電力を利用できなくなった地域に向けて、太陽光発電モジュールとTeslaの住宅用定置型蓄電池「Powerwall」を供給することを決めた。緊急対処を実行するには、Powerwallの生産能力を一時的にでも引き上げる必要がある。Musk氏は、Teslaがその対処に取り組んでいたとしている。
もう1つの問題は、同社が2017年7月末に納入を開始した新型電気自動車(EV)「Model 3」の生産に関する問題だ。Model 3は同社としては初めてとなる普及価格帯のEVであり、本体価格は3万5000ドル(395万5000円:1ドル=113円で換算)からという価格で、満充電状態からおよそ215マイル(約346km)の走行できるという点が好評を博し、数十万台の注文を受ける大ヒット商品となった。しかし、現在のTeslaの生産能力では、莫大なバックオーダーを処理する見込みがまったく立たない。そこで同社は生産施設の拡充など、さまざまな手を打ち続けている。
図 Teslaの普及価格帯のEV「Model 3」。莫大な数の注文を受けて、対処に苦慮している
出所 Tesla
正式発表前から、Teslaの電動トレーラーヘッドに対する期待は高まる一方だ。巨大なコンテナを牽引し、長い距離を走行するトレーラーヘッドは、乗用車とは求められる性能がまったく異なる。重いコンテナを引きながら長距離を走行するには、電気自動車の技術では難しいのではないかという声も多い。実際、アメリカの一部大型トラックメーカーは、燃料電池とモーターを組み合せたトレーラーヘッドの開発を進めている。走行距離が長く、燃料となる水素の充填もあっという間に済んでしまうという点を評価してのことだろう。
Teslaがこれから発表する電動トレーラーヘッドが、コンテナを引きながら十分な距離を走行できて、短時間で充電できるということになったら、業界がこのトレーラーヘッドに向ける目は大きく変わるだろう。あっと驚くような性能を見せることを期待したい。