オランダの化学メーカーAkzoNobelとオランダのガス業者Gasunieは2018年1月9日(中央ヨーロッパ時間)、100%再生可能エネルギーを活用したものではヨーロッパ最大となる水素製造施設の建設計画を発表した。計画では消費電力20MW(2万kW)の水電解装置を設置し、年間に3000トンの水素を製造する施設となる予定。水電解装置に供給する電力は、100%風力あるいは太陽光で発電したものを利用する。両社はこの計画についてさらに検討して、2019年に建設を進めるか否かを最終的に決定するとしている。
図 風力発電あるいは太陽光発電で得た電力で水素を精製する
出所 AkzoNobel
建設予定地はオランダ北東部、フローニンゲン州(Groningen)のデルフゼイル(Delfzijl)。20MWの水電解装置を使用するのはあくまで当初の計画であり、両社はこの施設をより大規模なものに作り変える計画を持っている。その際には少なくとも100MW(10万kW)の水電解装置を使うことになるという。
Gasunieの取締役であるUlco Vermeulen氏は「再生可能エネルギーから水素を作り出す技術は有望であるだけでなく、2050年における電源構成や、CO2排出量の削減目標を達成する上で欠かせないものだ」とコメントしている。オランダ政府は2030年にCO2排出量を1990年比で49%削減するという目標を掲げている。Vermeulen氏は「この目標を達成するために水素を利用するなら、今動き出さなければならない」と付け加えている。
AkzoNobelのエネルギー局長であるMarcel Galjee氏は「オランダの産業界は年間に80万トン以上の水素を消費している。そのほとんどが天然ガスから精製したものだ。これを全量、再生可能エネルギー由来の水素に置き換えることで、年間のCO2排出量を700万トン削減できる」と見込みを明らかにしている。
両社はオランダ北部を、再生可能エネルギー由来の水素が流通する経済圏として成長させることで合意している。オランダ北部は、洋上風力発電など再生可能エネルギー由来の電力を輸入できる環境が整っており、パイプラインなどのガス輸送施設も利用できる。今回発表した水素製造施設が完成すれば、大規模な水素製造が始まる。