トヨタ自動車は、燃料電池車の主要部品である高圧水素タンクと燃料電池スタック(FCスタック)の生産設備を拡充すると発表した。
トヨタ自動車は2018年5月24日、燃料電池車(FCV)の主要部品である高圧水素タンクと燃料電池スタック(FCスタック)の生産設備を拡充すると発表した。2018年現在、トヨタ自動車のFCV販売台数は年間3000台ほどだが、同社は2020年以降には全世界で年間3万台を販売する計画を立てている。今回の生産設備拡充は、10倍に引き上げた販売台数目標に対応するものだ。そしてトヨタ自動車は、世界での燃料電池車販売台数拡大に向けて海外における販売国や地域を拡大する。日本国内では現在、4大都市圏(首都圏、近畿圏、中京圏、福岡・北九州圏)を中心にFCVを販売しているが、この対象地域を広げていくことも検討する。
図 高圧水素タンクのカットモデル(左)と燃料電池スタック(右)
出所 トヨタ自動車
高圧水素タンクはトヨタ自動車の下山工場(愛知県みよし市)で増産する。そのために同工場の第3工場に高圧水素タンク専用の生産ラインを新設する。新設する生産ラインの面積は約1.5万m2。
FCスタックはトヨタ自動車本社工場(愛知県豊田市)で増産する。本社工場ではそのために、敷地内にFCスタック生産専用棟を建設する。専用棟は8階建てで、延べ床面積は約7万m2。高圧水素タンク、FCスタックともに、新設の生産設備は2020年ごろに稼働開始の予定だ。
図 本社工場内に新設するFCスタック生産棟のイメージ
出所 トヨタ自動車
トヨタ自動車が2017年2月に東京都に販売した燃料電池バス(参考記事)や、豊田自動織機が販売している燃料電池フォークリフトなど、FCスタックや高圧水素タンクの用途が広がっているという。さらにトヨタ自動車は、2020年代からFCVのラインナップ拡大を計画しており、その結果FCV全体の販売台数が増加するとみている。その結果、現行の体制ではFCスタックや高圧水素タンクの供給が追い付かなくなると考えて、生産設備増強に踏み切った形だ。
ちなみに、トヨタ自動車は「工場CO2ゼロチャレンジ」という活動に取り組んでおり、今回新設する設備も生産段階でのCO2排出量を極力削減したものとする予定だという。
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