トヨタ自動車は2018年3月27日、量販型の燃料電池バス「SORA」を発売したことを明らかにした。同社は2017年10月に燃料電池バスのコンセプトモデル公開し、これを基にした市販車を2018年に発売すると予告していた(参考記事)。
図 トヨタ自動車が発売した量販型の燃料電池バス「SORA」
出所 トヨタ自動車
車両デザインと基本的な仕様は、2017年10月に公開したコンセプトモデルとほぼ同一となっている。燃料電池車「MIRAI」が搭載する燃料電池システム「トヨタフューエルセルシステム」を搭載し、ニッケル水素蓄電池も併用するハイブリッド仕様。災害発生時などは外部に電力を供給できる。電源供給能力は出力9kW、容量235kWh。外部給電器は別売りだ。
図 燃料電池バス「SORA」に外部給電器を接続して、電源を取り出しているところ
出所 トヨタ自動車
安全運転支援機能も備えている。車体の内外に合計8台の高精細カメラを搭載しており、撮影画像を運転席に設置したモニターに表示する。バスが停車している時は、周囲の歩行者などの障害物をカメラで検知し、運転手に音と画像で知らせる。
燃料電池車や電気自動車などの電動車は、発進時の鋭い加速が特徴として挙げられる。しかし、バスが鋭く加速すると車内で立っている乗客が姿勢を崩して倒れてしまう可能性がある。そこで、今回発売した燃料電池バスは、急加速を抑えて緩やかに発車する機能を搭載している。
図 燃料電池バス「SORA」の基本的な仕様
全長/全幅/全高 | 10525/2490/3350mm |
定員(座席+立席+乗務員) | 79(22+56+1)人 |
燃料電池スタック | トヨタFCスタック(固体高分子形) |
燃料電池の最高出力 | 114kW×2(155馬力×2) |
モーター | 交流同期電動機 |
モーターの最高出力 | 113kW×2(154馬力×2) |
モーターの最大トルク | 335Nm×2 |
高圧水素タンクの搭載本数 | 10本(70MPa) |
高圧水素タンク内の容積 | 600リットル |
蓄電池 | ニッケル水素蓄電池 |
外部電力供給能力 | 9kW/235kWh |
出所 トヨタ自動車
トヨタ自動車は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会までに、東京を中心に100台以上の燃料電池バスを納車する予定があるとしている。多くの人に目に触れる市街地を燃料電池バスが走行することで、一般消費者の燃料電池バスへの理解が深まると期待しているという。
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