スコットランドMoray Offshore Renewable Powerは2018年12月6日、同社が計画していた洋上風力発電所「Moray East Offshore Windfarm」の建設資金調達が完了したと発表した。Moray Offshore Renewable PowerはスペインEDP Renewablesが設立した企業で、スコットランド北東のアウターマレー湾(Outer Moray Firth)にMoray East Offshore Windfarmと「Moray West Offshore Windfarm」の2つの洋上風力発電所の建設を目指して活動している。完成後の運営も同社が担う予定だ。2019年に建設を始めて、2022年の運転開始を目指す。
図 Moray Offshore Renewable Powerが建設を予定している2つの洋上風力発電所とその位置。スコットランド北東のアウターマレー湾に建設する
出所 Moray Offshore Renewable Power
Moray East Offshore Windfarmの最大出力は950MW(95万kW)で、イギリスの一般世帯に電力消費量にして95万世帯分を発電するという。World Energy Council(世界エネルギー会議)の2014年の調査によると、イギリスにおける1世帯当たりの年間電力消費量は平均で3941kWh。この数字をそのまま当てはめると、年間でおよそ3.74395TWh(37億4395万kWh)を発電する計算になる。設備利用率は45%ほどになる。日本風力発電協会の調べによると、ヨーロッパにおける余剰風力の設備利用率はだいたい40%以上。Moray East Offshore Windfarmの整備利用率はヨーロッパ圏内でもかなり高いと言える。
風力発電設備は、デンマークMHI Vestas Offshore Windが2017年6月に発表した新製品「V164-9.5MW」を採用する(参考記事)。V164-9.5MWは、現時点で世界最大規模の洋上風力発電設備であり、1機当たりの最大出力は9.5MW(9500kW)。2018年6月にはIEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)の認証を取得し、2019年末から設置可能となっている(参考記事)。
Moray East Offshore Windfarmは、比較的少数の大規模発電設備を採用し、高い設備利用率を期待できるところに建設するなどの配慮で、発電コストを大きく削減している。イギリス政府が実施した入札では、1MWh当たり57.5ポンド(8165円:1ポンド=142円換算)で電力を供給する条件で入札し、採用された。ちなみに、現在建設中で同等の規模の洋上風力発電所の入札価格は1MWh当たり140ポンド(1万9880円)程度。入札価格を半分以下に引き下げたことになる。