デンマークMHI Vestas Offshore Wind社は2017年6月6日(現地時間)、風力発電設備の新製品「V164-9.5MW」を発表した。MHI Vestas Offshore Wind社は日本の三菱重工業とデンマークのVestas Wind Systemsが合弁で設立した企業。現在販売している「V164-8.0MW」は、世界最大の出力を誇る風力発電設備だったが、それを上回る性能の製品が登場したことになる。
図 MHI Vestas Offshore Wind社が新たに発表した風力発電設備「V164-9.5MW」
出所 MHI Vestas Offshore Wind社
V164-9.5MWの出力は9.5MW(9500kW)。1台で年間にイギリスの一般世帯の年間電力消費量にして8300世帯分の電力を発電するという。イギリス政府のガス・電力市場管理局(Office of Gas and Electricity Markets:OFGEM)の調べによると、イギリスの一般世帯の年間電力消費量は平均で3300kWh。単純に換算すれば、27.39GWh(2739万kWh)を発電するということになる。
出力がV164-8.0MWから1.5MW上がったわけだが、基本的な設計は変わっていないという。風車の回転直径は164mで前機種と変わらず、発電機やギアボックスなどを格納する「ナセル」が多少大きくなったくらいだ。
MHI Vestas Offshore Wind社で最高技術責任者(Chief Technology Officer:CTO)を務めるTorben Hvid Larsen氏は「V164-9.5MWでは、V164-8.0MWを多少改良して出力向上を達成した。ギアボックスや冷却システムを再設計したほかは、大きな改良を加えたわけではない。それだけ、V164-8.0MWの出来が良かったということだろう」とコメントしている。
MHI Vestas Offshore Wind社は、1台当たりの発電量が上がったことで、大規模洋上風力発電所を作るにも、風力発電設備の台数を減らすことができ、メンテナンスにかかるコストを削減できるだろうとしている。
とはいえ、今回の新製品が実際に稼働を始めるまでには時間がかかりそうだ。V164-8.0MWは、2014年10月に試作機が稼働し、2014年12月にデンマークDONG Energy社から、イングランド、リバプール湾の「Burbo Bank Extension Offshore Windfarm」向けに発注を受けている。そして、Burbo Bank Extension Offshore Windfarmが完成して稼働を始めたのは2017年5月だ(参考記事)。今回の新製品が実地で稼働を始めるには3年ほどかかりそうだ。