スペインSiemens Gamesa Renewable Energyは2018年5月22日(西ヨーロッパ時間)、同社の研究施設でレドックスフロー電池の検証を開始したと発表した。同社は一般的なリチウムイオン蓄電池を利用した蓄電施設を提供しているほか、2017年11月末には風力発電で得た電力を熱に変えて岩石に貯蔵する施設の建設を始めている(関連記事)。レドックスフロー電池の検証を開始し、大規模蓄電施設で利用できる技術をすべて顧客に提供できるようになったとアピールしている。
図 Siemens Gamesa Renewable Energyの検証施設のイメージ。風力発電設備と太陽光発電所を併設している
出所 Siemens Gamesa Renewable Energy
検証のためにレドックスフロー電池を導入したのは、Siemens Gamesa Renewable Energyがスペイン・サラゴサ近くで運営している研究開発施設「La Plana R&D site」。ここには発電装置として風力発電設備、太陽光発電所のほかに、ディーゼルエンジンで稼働する発電機が備わっている。これまでの2年ほど、ここでは発電した電力をリチウムイオン蓄電池に充電していた。今回レドックスフロー電池も導入し、リチウムイオン蓄電池を補完するような形で運用しながら技術検証を進めるとしている。
レドックスフロー電池は、バナジウムなどのイオンの酸化還元反応を利用して充放電する蓄電池。設備本体は大きくなるが、蓄電容量、最大出力、最大入力のどの値も大きいという特徴がある。また、電解液が劣化しないため、事実上充放電サイクルの制限がなく、半永久的に利用できる点も大きな特徴だ。
研究開発施設に導入したレドックスフロー電池は、出力が120kWで蓄電容量が400kWhのもの。Siemens Gamesa Renewable EnergyのCTOを務めるAntonio de la Torre氏は「蓄電容量などを容易に拡張できるレドックスフロー電池は、大規模蓄電施設に提供する技術として非常に有望な選択肢」と語り、レドックスフロー電池を利用した蓄電施設の建設などに積極的に取り組んでいく方針を示している。