「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、国内では第6次エネルギー基本計画が策定され、この中で航空分野の脱炭素化については、①機材・装備品等への新技術導入、②管制の高度化による運航方式の改善、③持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進、④空港施設・空港車両のCO2排出削減等の取り組みを推進し、同時に「空港を再エネ拠点化する方策を検討・始動し、官民連携の取り組みを推進する」ことが位置付けられた。
一方、国際的には、2010年の国際民間航空機関(ICAO)総会において、「2050年まで年平均2%の燃費効率改善を行うこと」「2020年以降、温室効果ガスの排出を増加させないこと」が世界的な推進目標として採択された。
そのような中、日本の空港の脱炭素化に向けて、2030年までに、空港施設・空港車両等のCO2排出削減量を30万トン/年、再エネ導入による再エネ発電容量を230万kWという目標を掲げている。
表 日本の空港におけるCO2排出量(2019年度の推計値)
表に示すように、2019年度における日本の空港施設・空港車両からのCO2排出量は、約85万トン/年と推計されている。今後、空港の脱炭素化対策を実施しない場合のCO2排出量は、2030年度には約98万トン/年、2050年度には約134万トン/年に増加する。
国土交通省 航空局は、2021年3月より「空港分野におけるCO2削減に関する検討会」を計4回開催し、空港施設・空港車両からのCO2排出削減の取り組みや空港の再エネ拠点化などについて検討を進めてきた。また、具体的に21空港を「重点調査空港」として選定し、各空港の特性に応じた取組内容の検証や事業スキーム構築などについて調査を実施した。
今後、同検討会では、2022年3月に「空港脱炭素化推進計画策定ガイドライン」を策定し、2022年度以降には各空港での脱炭素化推進計画を検討・策定、空港脱炭素化推進事業(設備導入支援、モデル実証等)の開始、空港脱炭素化整備マニュアルなどの策定を行う。