満席となったシンポジウム会場
≪1≫ICT標準化・知財センターが取り組む10大技術
日本のICTの国際競争力の強化に向けての、国を挙げてのシンポジウムとあって、会場には、国際標準化、国内標準化活動の最前線で活躍する、産業界(通信事業者、メーカーなど)、大学・研究関係者、政府関係者で満席となり、会場は大きな期待に溢れたシンポジウムとなった。
シンポジウムのプログラムは表1の通りであり、ICT標準化・知財センターがターゲットとする重点技術分野は、表2に示す10大分野。いずれも2010年から2015年にかけてきわめて重要となるテーマばかりである。これは、同時に世界の技術先進国がいっせいに競って取り組んでおり、各国の実力が問われるテーマでもある。
≪2≫ICT産業は、GDP(国内総生産)成長の4割を占める
鈴木 淳司氏
(総務大臣政務官)
シンポジウム最初に挨拶に立った、総務大臣政務官:鈴木 淳司氏は、ICT標準化・知財センター設立の背景と意義を次のように語った。
『日本のICT産業は、実質的にGDP(国内総生産)成長の4割を占め、日本を牽引する産業分野である。しかし一方、わが国は少子高齢化が進み人口の減少時代を迎えるなど、全体として経済成長にとってマイナスの要因もある。
このため、わが国として今後とも、持続的な経済成長を進めるためには、ICTの国際競争力を強化し、国内市場だけでなくグローバル市場に向けたICT産業を発展させることがきわめて重要となってきている。そこで今後は、以前にもまして、いろいろなICT関連製品を国際標準に沿って開発していくことが必須となってきている。
このような背景から、国際標準化活動をいかに戦略的に取り組んでいくかが、わが国のICT産業の未来を決めるといっても過言ではない。ICT標準化・知財センターは、まさにそのような問題意識から、わが国の国際標準化活動の強化を目指して設立された。このICT標準化・知財センターはこれからのICT分野の国際競争力に重大な影響を与えていくことになろう。
総務省においても、ICT分野の国際競争力の強化について、さまざまな議論が行われている。本年(2008年)の7月4日には、総務省内に情報通信国際戦略局を設置(図1:編集部補足)し、国際競争力の強化に向けた体制を整備し、今、まさにスタートしたところである。総務省としても、情報通信研究機構(NICT)と連携して、ICT標準化・知財センターの活動に最大限の協力をしてまいりたい』(都合により主催者側に代わってトップの挨拶となった)。