≪1≫進展する次世代動画像符号化「HEVC」の内容
〔1〕HM2の作成
H.264/AVCの後継規格として、HEVC(High Efficiency Video Coding、高効率動画像圧縮符号化)が、JCT-VC(Joint Collaborative Team on Video Coding、共同研究部会)で審議されている。JCT-VCは、MPEG(ISO/IEC:Moving Picture Experts Group)とVCEG(ITU-T:Video Coding Experts Group)が共同で設立した作業部会である。
JCT-VCは、前回会合(広州会合、第94回)において
(1)HEVCのWD1(Working Draft、作業草案)と
(2)HM1(High Efficiency Video Coding Test Model、高効率動画像圧縮符号化のテストモデル)
を作成している。また、これらに対応する参照ソフトウェアも作成している。HEVCで採用される各符号化ツールは、コア実験(CE:Core Experiments)の結果を審議することによって決められるが、前回の第94回会合では、HM1に基づく13項目のコア実験を本会合に向けて設定した。今回の会合では、複数の団体で互いに検証を済ませたコア実験の結果について審議した。
すでにHM1で採用されていた技術についても、符号化効率と演算負荷のトレードオフ関係から最適なバランスを決めるため、詳細に議論された。
その結果、いくつかの符号化ツールについては一定の結論が得られ、それらを反映した新たなHMを作成し、バージョン2として更新した。また、次会合(ジュネーブ会合、第96回)に向けたコア実験として、新たに14項目が設定された。いくつかの項目は、前回(第94回)のコア実験を引き継いでいるが、新たに追加された項目もある。詳細は後述する。
〔2〕新しいテストシーケンスの追加
ドレスデン会合(第92回)においてテストシーケンス(提案される技術を比較する実験において共通して利用する映像)への採用が決められたNHKが提供するスーパーハイビジョン(SHV、注1)向けの映像が、正式にHEVCのテストシーケンスに組み込まれた。
(注1)SHV:Super Hi-Vision、HDTVの16倍の画素数「縦4320×横7680画素」。
HEVCのテストシーケンスは、映像の解像度が416×240[画素](水平画素数:416画素×垂直走査線数:240本)から2560×1600[画素]に至る5つのクラスに分類されている。一方でスーパーハイビジョン用の映像は、解像度が8K×4K(7680×4320[画素])であり、すでに規定されたテストシーケンスの解像度を上回っている。そのため、一部を切り出した映像がNHKのテストシーケンスとしてクラスAに追加された。すでにクラスAに規定された映像と比較して、カメラの動きを含むことや暗いシーンを撮影した映像であることが大きな違いである。シーケンスの詳細は、公開文書(JCTVC-D034、Specification of cropped Super Hi-Vision test sequences)に記述されている(下記URL参照)。
〔3〕新たな要求仕様の追加
本会合では、HEVC標準の新たなスコープ(標準の利用が想定されるアプリケーションや技術的にターゲットとする適用範囲)として、スクリーンコンテントが盛り込まれた。スクリーンコンテントは、PC画面をキャプチャした映像や、テキストが画面上でスクロールしている映像、レンダリングされたビデオ(数値データで与えられた物や図に関する情報を計算処理によって画像化した映像)といった種類の映像である。
これまでのMPEG標準は、主なターゲット映像を自然画像(カメラを通して撮影された映像)に定めているため、非自然画像もしくは加工/生成された映像を扱うスクリーンコンテントは、新たな特性の映像をサポートすることを意味している。ただし、すでにHEVC標準は自然画像を対象として審議が進められているため、HEVC標準化作業の遅れや符号化方式の複雑化が生じない範囲で議論することで合意されている。
スクリーンコンテントの符号化を議論するために、新たなテストシーケンスを規定することになった。テストシーケンスは、すでに規定されている5つのクラスではなく、新たにクラスFを設ける予定である。テストシーケンスの募集は、2011年3月8日までに行われ、次会合(ジュネーブ会合、第96回)で検証される。ただし、それ以降の提案も認められている。
公開文書(JCTVC-D252)には、すでに提案されているスクリーンコンテントのテストシーケンスの概要が記述されている。また、提案募集の草案は、公開文書(JCTVC-D501: Request for Video Test Material for "Screen Content" Coding Experiments)で確認できる。
≪2≫符号化ツールの審議と新しいコア実験の設定
本会合(第95回)では、前回会合(広州会合、第94回)で作成したコア実験の結果を審議し、一部の符号化ツールを具体的にHMに実装することで合意している。また、継続審議となった符号化ツールについては新規提案の更なる検証も含め、新たに14項目のコア実験を設定し、次会合(ジュネーブ会合、第96回)までに調査することになった。新たに設定されたコア実験の項目を、表1に示す。
文書番号 | コア実験 | 説明 |
---|---|---|
JCTVC-D601 | Decoder-Side Motion Vector Derivation | (一部の)動きベクトルを符号化せずに復号器側で導出する技術 |
JCTVC-D602 | Flexible Motion Partitioning | 効果的な画面間予測のためのブロック分割統合技術 |
JCTVC-D603 | Interpolation for MC (Luma) | 輝度信号の動き補償に最適な補間フィルタ |
JCTVC-D604 | Slice Boundary Processing and Fine Granularity | 効率的なスライス設定の調査 |
JCTVC-D605 | Low Complexity Entropy Coding Improvements | 低負荷なエントロピー符号化の改良 |
JCTVC-D606 | Intra Prediction Improvement | 画面内予測の性能改善 |
JCTVC-D607 | Alternative Transforms | 新しい変換方式の利用と性能評価 |
JCTVC-D608 | Non-deblocking loop filtering | (デブロッキングフィルタ以外の)ループ内フィルタの性能改善 |
JCTVC-D609 | MV Coding and Skip/Merge operations | 動きベクトル符号化手法の改善 |
JCTVC-D610 | Core Transform Design | 変換処理の最適化 |
JCTVC-D611 | Coefficient scanning and coding | 変換係数の最適なスキャン手法 |
JCTVC-D612 | Deblocking filtering | デブロッキングフィルタの改良 |
JCTVC-D613 | Sample Adaptive Offset | サンプル点の動的補正方式の性能評価 |
JCTVC-D614 | Intra Mode Coding | 画面内符号化のモード情報符号化の効率改善 |
表1中のCE1(CE:Core Experiments、コア実験。表1では、JCTVC-D601に対応、以下同じ)からCE3、CE5からCE7、CE9、CE11は、前回会合(広州会合、第94回)で設けられたコア実験とほぼ同じ技術項目で、次会合(第96回)についても継続審議される。また、CE8とCE12は、前回会合では一つのコア実験であったループ内フィルタ関連の項目を、デブロッキングフィルタ(注2)とそれ以外のフィルタ処理で個別のコア実験に分けた形になっている。一方、新たに追加されたコア実験としては、CE4、CE10、CE13、CE14があり、新たに提案された技術や改良技術の評価のために追加されている。
(注2)デブロッキングフィルタ:画像の符号化時に、ブロック境界に発生する歪みを減少させるフィルタ。
≪3≫HEVCのブロック構造
現在審議中のHEVCは、符号化に使われる基本的な概念(画面間の差分情報の生成や画素の係数情報への変換などを行う点)がH.264/AVCとほぼ同じである。ただし、想定する入力映像の解像度がこれまでの標準とは異なり、8K×4K(水平画素数:約8000画素×垂直走査線数:約4000本)に拡張されている。そのためHEVCでは、H.264/AVCで利用しているマクロブロック(16画素×16ラインの正方形の画素ブロック)よりも大きなブロックサイズに対応可能な方式を採用している。
以下の情報は、標準化審議中であり決定事項ではないが、MPEGで承認された文書(N11822: Description of High Efficiency Video Coding (HEVC))においても言及されており、最終的に同様の仕組みがHEVCで利用される可能性が高いと考えられる。
HEVCには、符号化のために新たに次の3つの処理単位が用いられる。
(1)A. CU(Coding Unit、符号化単位)
(2)B. PU(Prediction Unit、予測単位)
(3)C. TU(Transform Unit、変換単位)
それぞれは、H.264/AVCでの処理系と対応付けることが可能であり、符号化処理の全体の流れに対してまったく新しいスキーム(方式)が導入されたわけではない(図1参照)。また、いくつかのマクロブロックをまとめたスライス(16ライン幅のマクロブロックの帯)については、CU(符号化単位)が可変サイズであるために、新しい定義を検討している段階であり、次会合に向けてコア実験を設定している。なお、HM2では、入力画像を一度すべてが同じサイズ(最大64×64画素)の正方形領域に分けるとしている。これは、TB(Treeblock、木構造分割)と呼ばれている。次に説明するCUは、各TBについて実行される処理である。
(1)A. Coding Unit(CU、符号化単位)
CU(Coding Unit、符号化単位)は、入力画像を符号化に適切したブロックサイズに分割する部分である。TB(Treeblock、木構造分割)をマクロブロックに相当する部分とすれば、CUは、H.264/AVCのサブマクロブロックに相当すると考えられる。
H.264/AVCとの違いは、16×16画素のマクロブロック単位ではなく、64×64画素の正方形領域を最大サイズのCUとして、さらに細かい正方形領域への区分を認めている点である。細かい正方形領域への区分は、四分木分割で行われる。これは、すべてのCUが正方形領域であることを保つ分割方法であり、具体的には水平および垂直に2分割し、4つの正方形領域に分割する方式である(図2参照)。CUの最小サイズは8×8画素であるため、四分木分割を最大で3回実行できる。予測処理を行わないCUはスキップモードとなり、予測処理を行う場合は画面内予測か画面間予測のモードに割り振られ、次のPUに進む。
(2)B. Prediction Unit(PU、予測単位)
PUは、正方形のCUをさらに分割した領域である。H.264/AVCの画面内および画面間の予測処理に対応している。PUは、CUを複数の矩形領域に分割する(図3参照)。これらの分割された領域ごとに画面内予測もしくは画面間予測を行い、予測誤差信号を生成する。
なお、HM2では、PUのN×N分割はCUのブロックサイズが最小の場合に限定している(画面間予測について)。これは、N×N分割を省くことで、符号化効率は若干低下するものの、有意に演算量を削減できるためである。同様の方式が、画面内予測に対しても検討されており、今後修正される可能性がある。図3の矩形分割はすべてCUを対称的に区分しているが、非対称な分割も検討されていた。これは、HMを作成する以前に検討していたTMuC(Test Model under Consideration、検討中テストモデル)では利用されていたが、現在のHMでは採用されていない。符号化効率の改善に対して演算負荷が増大することが主な理由だが、改善案も検討されている。
(3)C. Transform Unit(CU、変換単位)
TUは、予測誤差信号を効率的に表現するための変換処理である。H.264/AVCにおける整数変換やアダマール変換に該当する。TUのブロックサイズは、4×4[画素]〜32×32[画素]の範囲で選ばれるが、注目するCUのサイズに応じてさまざまな値が考えられ、実際には四分木分割の実行回数によりTUのブロックサイズは表現される。例えば、32×32画素のCUを四分木分割で一回分割すれば、TUは16×16画素のブロックサイズになる。変換によって得られた係数情報は量子化され、VLC(Variable Length Coding、可変長符号化)や算術符号化でさらに圧縮される。
≪4≫そのほかのMPEGの話題
〔1〕HTTPストリーミング
前回会合(広州会合、第94回)においてCD(Committee Draft、委員会草案)が策定されたDASH〔ISO/IEC 23001-6 Dynamic Adaptive Streaming over HTTP(DASH)、動的適応型HTTPストリーミング〕は、本会合(第95回会合)でDIS(Draft International Standard、国際標準草案)を策定した。また、新たに適合性試験と参照ソフトウェアを規定するPart7(ISO/IEC 23001-7: Conformance and Reference Software for DASH、DASH向け適合性・参照スフトウェア)を定め、WD(Working Draft、作業草案)の作成に着手した。
〔2〕MMT
MMT(MPEG Media Transport、MPEGメディア転送プロトコル)は、IPネットワークを利用したMPEGのメディア情報転送を規定する標準である。HTTPによるMPEGメディアの転送は、DASHとしてすでに標準化が進められているため、MMTではより幅広いアプリケーションを対象とした標準として審議されている。
MMTは、ジュネーブ会合(第93回)において、提案募集〔Call for Proposals on MPEG Media Transport (MMT)〕が発行されており、前回会合(広州会合、第94回)は、提案募集期間であったため、主要な活動はAHG(Ad Hoc Group、特別グループ)の設立であった。本会合で提案募集を終え、10団体からの提案を評価し、WDの作成に着手した。
〔3〕Royalty-Free Codec(特許料無料コーデック)の審議
RFCodec(Royal Free Codec、ロイヤリティ・フリー・コーデック。特許料無料コーデック)に関する議論では、インターネットでの利用を想定した無料のビデオコーデックを新たに標準化することになった。新標準は、MPEG-2よりも十分に圧縮性能が高く、H.264/AVCの Baseline Profile(基本プロファイル)と同等の性能を達成することを目標としている。CfP(Calls for Proposals、提案募集)の草稿の作成に着手し、次会合(ジュネーブ会合、第96回)の終了時に発行する予定である。MPEGのプレスリリースにて確認できる。
「MPEG envisages royalty‐free MPEG video coding standard」
http://www.itscj.ipsj.or.jp/sc29/29w02911.pdf
〔4〕3DV
3次元映像(3DV:3Dimension Video)の符号化に関する標準化では、FTV(Free-viewpoint TV、自由視点映像)について、提案募集の草案が作成された。正式な提案募集を次会合に行い、2011年11月の第98回会合に提案される各方式を評価する予定である。
〔5〕Visual Search(視覚的情報探索技術)
MPEGでは、新たにVisual Searchに関する審議を開始している。Visual Search は、主に画像や映像中の視覚的なオブジェクトを探索するアプリケーションを対象としている。これを実現するためには、探索のための情報抽出と共通形式での記述が必要であり、記述子の抽出方法と形式が標準化の対象となる。
携帯デバイスなどで抽出された情報を、サーバで処理する場合には、記述子を伝送するため、記述子の効率的な表現や圧縮が必要となる。本会合では、提案募集の草案を作成し公開し、次会合(ジュネーブ会合、第96回)において正式なCfP(Call for Proposals、提案募集)の発行を予定している。
≪5≫今後のスケジュール一覧
〔1〕HEVC
入力される寄書数が膨大な量に増えているが、現時点ではスケジュールにしたがって審議が続けられている。
標準化段階 | 時期 |
---|---|
CD(委員会草案) | 2012年2月 |
FCD(最終委員会草案) | 2012年7月 |
FDIS(最終国際標準草案) | 2013年1月 |
〔2〕DASH
HTTPプロトコルによるストリーミング技術の標準となるDynamic Adaptive Streaming over HTTP(DASH:動的適応型HTTPストリーミング)は、次会合(ジュネーブ会合、第96回)においてFDIS(Final Draft International Standard、最終国際標準草案)が発行される予定である。
標準化段階 | 時期 |
---|---|
FDIS(最終国際標準草案) | 2011年7月 |
IS(国際標準) | 2011年11月 |
〔3〕Visual Search
Visual Searchの標準化は、次会合(ジュネーブ会合、第96回)に提案募集を発行し、2013年の標準発行を目指している。
標準化段階 | 時期 |
---|---|
CfP(提案募集) | 2011年3月 |
WD(作業草案) | 2012年2月 |
CD(委員会草案) | 2012年7月 |
DIS(国際標準草案) | 2013年1月 |
FDIS(最終国際標準草案) | 第105回会合(2013年) |
≪6≫まとめ
本レポートでは、着実に審議が進められているHEVC標準化の動向を報告した。HEVCは、新たなブロック構造を導入してH.264/AVCではサポートしなかった高解像度の映像も効率よく圧縮可能である。それに伴って、演算負荷量も増大する傾向にあるが、複数のコア実験を通じて符号化効率と演算負荷量のトレードオフを最適化し、両者のバランスの取れた新標準を策定するために活発な議論が継続されている。最終的にはさまざまなアプリケーションで幅広く利用可能な新標準が発行されると期待される。
≪参考サイト≫
「JCT-VCの文書管理システム」(http://phenix.int-evry.fr/jct/index.php)
(トップ画面のサイドメニューの[All meetings]から各文書にアクセス可能である。文書の閲覧にIDは不要である。)
バックナンバー
<MPEG標準動向レポート>
第1回:H.264/AVCの後継規格「H.265/HVC」を標準化へ
=MPEG京都会合:2012年7月の完了目指して審議を開始=
第2回:H.264/AVCの後継規格の新標準名は「HEVC」に
=主観評価実験を完了し具体的な符号化ツールの選定段階へ=
プロフィール
石川 孝明(いしかわ たかあき)氏
現職:
早稲田大学国際情報通信研究センター招聘研究員
【略歴】
2003年、早稲田大学理工学部電子・情報通信学科卒業。2005年、同大学院国際情報通信研究科修士課程修了。同年、同大学院博士後期課程入学。2007年、同大学国際情報通信研究センター助手。2011年、同大学国際情報通信研究センター招聘研究員、現在に至る。
主に、画像符号化に関する研究に従事。現在は、ネットワーク親和性を有する画像符号化技術の研究に従事。IEEE、情報処理学会、電子情報通信学会、画像電子学会、信号処理学会各会員。ISO/IEC JTC1/SC29 WG11 Video小委員会およびWG1小委員会各委員。
連絡先:takaxp@ieee.org
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