Googleのスマートコミュニティ戦略
〔1〕「Google Y」の創立
「Emerging Technology Review」 の2014年9月19日の記事によれば、GoogleがGoogle Glassや自動走行車などの研究で知られる高度技術研究所「Google X」に続き、効率的な空港やモデル都市を研究する「Google Y」の創立を計画し、スマートシティの研究開発に向かうとしている。
この記事の根拠として、Google創業者の1人であるラリー・ペイジ氏が、2013年のGoogle I/Oカンファレンスで発表した「Google 2.0」の構想で、空港やモデル都市開発に触れられていることと、Google Ventures社によるUrban Engine社への投資が挙げられている。
Urban EngineのWebサイトによれば、日々の通勤の負荷を減らすため、インセンティブの手法(例えばオフピークの利用ではポイントが貯まるなどの手法)と、空間解析技術、行動経済学理論を組み合わせたシステムで、既存の交通インフラをより効率的に使うことを実現するとしている。
Urban Engine社が特徴的なのは、センサーなどで直接交通量などを監視するなどの物理的手段ではなく、ICパスの利用情報などの間接的情報を統計的に分析し、インセンティブ配分などで間接的に利用者の行動をコントロールしようとしていることである。これは、ハードウェアや物理的なインフラをもたない純粋なIT企業であっても、スマートシティにおいては、物理的インフラに関係する産業に参入できる可能性があるという点でも注目に値する。
Googleは、自動運転車の開発も積極的に進めており、スマートシティ関連でのキーとなる事業を確実に押さえようとしているとも考えられる。