2014年の分野別の投資額
それでは、2014年の分野別の投資が具体的にどのような内訳になっているのかを詳しく見てみよう(図3)。図3では各投資分野に続いて、その分野の投資金額の総額、そしてディール数が書かれている。
図3 2014年におけるスマートグリッド関連のVC投資の投資分野別内訳[単位:百万ドル]
〔出所:Mercom Capital Group,“Smart Grid Funding and M&A 2014 Fourth Quarter and Annual Report”〕
〔1〕AMI分野への投資
先ほどの流れでAMI分野の投資を見てみると、AMI分野の投資金額は “*Und”という表記になっている。元の文書にこれについての注釈は載っていないが、これはunder、つまり投資金額の総額が単位である100万ドル(約1億2,000万円)を下回る金額だったことを示していると想定できる。また2014年のディール数は1件のみであった。
ここまでの話の流れを整理すると、図1で見たように、確かに2014年のVC投資の投資額は、米国でARRAが成立した翌年の2010年の額にはおよばないものの、2010年の投資額が多かったのは、当時、スマートメーターの導入が全盛期であったことと関係がある。ただし、その後、スマートメーターを含むAMIの導入が比較的落ち着いてくるに連れ、ベンチャーキャピタルとしてもAMI分野への投資は控え、次に盛り上がる可能性が高い分野に注目するようになった。
〔2〕スマートメーターからホームへ
次、つまりスマートメーターも含めたAMIが普及した後に視線を向けると、今後はスマートメーターから収集したデータを活用して、宅内向けに行うサービスである。その分野を図2および図3では「スマートグリッド通信」の分野として表現している。 この分野は図3を見ると、2014年にはVCから約2億3,200万ドル(約278億4,000万円)の投資があった。図2でスマートグリッド通信の投資額の推移を見てみると、2010年は約2億8,700万ドル(約344億4,000万円)という最も積極的な投資があった年だったが、その後2011年から2013年までも2億ドル前後(1億8,500万ドルから2億2,000万ドル、日本円にして約222億円から約264億円の幅)の水準を保っていることがわかる。他の分野は年によって大きな変動があるものの、スマートグリッド通信の分野については、2010年から安定して全分野の中で一番大きな投資が行われている分野であることがわかる。
それでは、その2014年のVC投資でどのような企業に投資が行われたのだろうか。投資が行われた上位5社をまとめたものが表1である。
表1 米国における各電力事業者のスマートメーターの導入状況(投資額が多い順)
〔出所:Mercom Capital Group,“Smart Grid Funding and M&A 2014 Fourth Quarter and Annual Report”などを参考に著者作成〕