[創刊特別企画: 最新の標準化動向を追う]

「M2M」とは何か ─前編─

─新・国際標準組織「oneM2M」の全体像とロードマップ─
2012/11/01
(木)
SmartGridニューズレター編集部

欧州における「ETSI TC M2M」の3つのドメイン

一方の欧州はどうだろう。欧州の先進的な標準機関であるETSI(エッツィ。後出の表2参照)注2 も負けてはいない。ETSI TC M2Mという技術委員会は、図4に示すような、
 (1)M2Mデバイスドメイン(M2M接続する各機器の領域)
 (2)ネットワークドメイン(ネットワーク領域)
 (3)アプリケーションドメイン(アプリケーション領域)
の3 つのドメインをもつM2Mアーキテクチャを策定し、すでに各機器(デバイス)をネットワークに接続するフェーズまで標準化が終了している。
 
 
 
現在は、M2Mでどのようなビジネスを行うか、すなわちどのようなM2Mのアプリケーションやサービスを提供するかについて、集中的に検討が行われている。アプリケーションやサービスをいち早く見つけた企業が、その分野の先行ビジネスで勝ちをおさめると考え、競っているのだ。
 
このようなことを背景にしてM2Mを考えてみると、スマートグリッドの場合は、ユーザーのスマートメーターから電力の利用情報を収集し、電力会社だけが活用するのではなく業種を超えて活用し、それに基づいて消費者のためになるようなサービスを提供する、というサイクルで、新しいビジネスがどんどん発展していくものと考えられる。
 
とくにETSIでは、M2Mについてかなり深く審議を行ってきている。ETSIにおけるM2Mの標準化の審議は、図5に示す、2009年2月に設置された「ETSIのTC M2M」(Technical Committee M2M:M2M 技術委員会)という委員会において行われてきた。ETSIとしてはこの委員会を背景にして、国際的なSDO注3(表2 に示すETSIを除く6つの標準化開発機関)の協力を取り付け、最終的にM2M の標準化を達成する組織として、「oneM2M」(当時、組織名はまだ決まっていなかった)のような組織をつくり、大きく国際標準の策定を目指していた。
 
 
 
 

▼注2
ETSI:European Telecommunications Standards Institute、欧州電気通信標準化機構1988年設立。本部:フランス。
 
◆図5出所
M2M Standards:How to enable the Internet of the Future M2M Workshop 19th / 20th October2010、http://docbox.etsi.org/workshop/2010/201010_m2mworkshop/01_settingthescene/arndt_etsitcm2m_howtoenabletheinternetofthefuture.pdf
 
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